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春ねむりインタビュー音楽はこの世界とどう向き合うべきなのか

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――問題のある発言やリリックに対しては、それを指摘するファンダムがあるほうが健全ですよね。

春 そう思うんですけど、見てる限り難しそうだなと。そもそも「それってすごく差別的だよ」みたいな、そういう指摘をされたことがない人が多いのかもしれないですよね。でも、誰かがそれを指摘すれば「そうかもね」と思ったり、もしそれに反発するなら、なぜそう思わないのかについて話せる出発点になるはずなんですよ。

――でも、その対話のキッカケすら生まれていないと。それも「俺は絶対に正しい」というマッチョ思想ゆえかもしれないですね。

春 そういうマッチョな部分を出すのって、(ヒップホップの)「様式美」でもあると思うし、その様式に影響を受けたから、(無批判に)そのままやってるだけな気がする。それは「様式に則ってきてやってきたジャンル」という弊害だと思うし、もうその様式や形式を外れてみてもいいんじゃないですか? って。……こういうこと言うと殴られそう、めっちゃ(笑)。でも、誰かが新しい発明をしてもいいと思うんですよね。

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――本来はそういう様式や構造を破壊する「アンチシステム」が、ヒップホップなはずですね。

春 だから(システムに対して従順に映ってしまう)「高い税金払ってるぜ!」みたいなリリックが一番不思議。金の使い道についてラップするなら、「児童養護施設に寄付したぜ!」とかにしてほしい。

パレスチナで起きている虐殺について

――春さんはSNSでパレスチナ問題への積極的な発信をされています。

春 イスラエル出身の好きなアーティストが2人いたんですが、イスラエルがガザ地区に大規模攻撃を仕掛けた時に、その2人がInstagramでイスラエルのプロパガンダのような発言をするようになったんですね。1人はそれまで政治的な発言はしなかったし、1人はボディポジティブのようなことを前面に出してたから、その投稿にすごく違和感を感じて。特にボディポジティブやアンチルッキズムは、フェミニズムに繋がることだから、そういう人が「帝国主義」的なものを容認するのが、かなり理解し難くて。それで中東のことを調べるようになって、イスラエルにアメリカとかが加担しとるってことは日本も加担しとる……だから、これついて今話さないとマジやばいんじゃないかと感じて、発信するようになったんですよね。

――それまでに中東問題に興味はあったんですか?

春 全然詳しくなかったですね。クリスチャンの学校に通ってたんですけど、教わるのは「聖地エルサレム」ぐらいで、知識としてもうっすらと宗教対立があるぐらいの認識でした。でも、よく調べると、これは宗教だけの話じゃないんだな、って。

――国家論とも関わる話ですね。

春 だから、これは私がこの世で最も憎んでいる「国家」や「システム」が引き起こしたことなんだなって。人間の感情は変えられないけど、システム自体は人間の構築物なので、絶対に可変性があるじゃないですか。

――「国家」も人為的に作られた構造や概念ですね。

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春 それが変えられないことが、本当に嫌なんですよね。そして、その煮凝りみたいなことが、いまの中東で起こってるのに、耐えられない。

――発言について反響はありましたか?

春 「パレスチナに連帯してくれてありがとう」も、「反ユダヤ主義者め! 殺すぞ!」も、英語ではありましたけど、日本語では「無」ですね。SNSでもミュージシャンはほとんど反応しないです。

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