――国家論に話は戻りますが、アナーキズムが成立することは想定できますか?
春 想像はできないけど、その気持ちを捨てちゃうとしんどいし、自分が死ぬかもしれないから、信じてはいたいですね。こういう話をすると、「国家がなくなったあとの具体的なビジョンはあるんですか?」と時々訊かれるんですけど、それは議論のすり替えだから、とりあえず黙れ、と(笑)。私は普通に生きてて、国家がないほうがいいと思うからそう言ってるんだし、国家がなくなった後のことは、頭のいい人が考えるから心配すんなって思うんですよね。だから「国家がなくなったあとの対案を出せ」みたいなことを言う前に、「じゃあ国家があったほうがいい理由を話してよ」と思う。そうすると「平和だから」みたいなことを言う人もいるけど、「国家があることで平和じゃない人もたくさんいるけど、それについてはどう思ってるの?」みたいな。そういう建設的な話がしたいんですよね。
取材・構成/高木“JET”晋一郎
撮影/武馬怜子
初出/実話BUNKA超タブー2024年3月号
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