「アダルトサイトの広告単価は大体1クリック0.01円ほどと安いんですが、Share Videosはアクセス数が膨大だったので、1ユーザーが20回とか誤クリックするので、収益が跳ね上がりました」
さらに星野氏は独自の広告の仕組みを編み出した。単価が高い一般サイト向けの広告をアドフラウドという手法で、密かに表示させたのだ。
「例えば表示されるだけでお金をくれる広告があったら、漫画の感想を紹介するダミーサイトを作り、まずそこに載せます。それをアダルトサイトと連結させ、ダミーサイトも同時に立ち上がるようにしました。それで、広告が表示されたことにできたんです。ただ、ダミーサイトのサイズはゼロ×ゼロなのでユーザーから見えません」
見えないため広告へのクリックは皆無だ。当然広告主からすれば、クリック回数が少な過ぎて不自然に思えてしまう。そこでアドフラウドとインステ広告のミックス手法を思いつく。
「ダミーサイトの広告部分だけを小さく切り抜いて、Share Videosのインステ広告に重ねました。みんな誤クリックしますから、切り抜いた広告もクリックされる。するとクリック回数が不自然ではなくなります」
これらの広告手法をShare Videosと漫画村で行った。しかし、漫画村の事件以降、アドフラウドも問題視される。
「アドフラウドで表示していたのがヤフー経由の広告で、広告出稿主は自治体でした。つまり、自治体にとって効果のない広告が、公金によってアダルトサイトに掲載されていたのです。その金額は数十億になったそうですよ」
当時、アドフラウドを規制する法律はなかった。星野氏が国家権力に目をつけられても無理はない。
「1回も反省してないんで」
こうした天才的な発想力を持つ星野氏は、どのような生い立ちなのか。
「高卒でニートになった際に、実家から追い出されたんです。半年間は月10万円仕送りするから、あとはなんとかしろと(笑)。そこで人に会わず、部屋でやれることとしてプログラミングを勉強し始めました」
漫画村以前にもさまざまなサイトを作り、収入を得たという星野氏。そんな元ニートの天才プログラマーは漫画村事件で国際指名手配されることになる。