矛盾が多すぎるMV
メンバーで作詞も担当、このMVのディレクションもしている大森元貴氏の謝罪文から意図的に差別的なものを想起させるものをつくろうとしていなかったのは感じる。炎上狙いとかでもないだろう。
ただ、類人猿が差別的にとられる可能性には気付いて配慮するようにしたと言っているが、考えてあれでは困るし、コロンブス問題に関しては特に考えた様子はない。
「誰か制作過程で指摘してあげる人はいなかったのだろうか」とも思うが、本気で誰も気付いていなかったかもしれないし、口を出しても「差別とかそういうつもりじゃないから」と押しきられたのかもしれないし、そもそもメンバーのアイディアに口を挟める雰囲気ではなかったのかもしれないし、実際どういう状況だったのかはわからない。
日本コカ・コーラはタイアップを取り止め、MVに関しては事前に内容を知らなかったと声明をだしているが現状でのコロンブスの評価を考え、『コロンブス』という曲名の時点で何か疑問を持ち、話し合いをしなかったのだろうか? タイトルの段階で海外から何か疑問の声があがる可能性についてはどうだったのだろう。
あと声明が他人事すぎて、さすがにどうかと思う。
民放各社も騒ぎになる前にワイドショーでMVを流しているのだが、あれを見ても疑問に思わず放送しているのはちょっとどうかと思う。媒体がこういう感じでは、アーティストに対して何か言えるのだろうか。
あのMVは変なところが多く、考察したところで矛盾がやたらと生じるのであまり意味がなく、ほんとうに「知らなかった」「気づかなかった」「偶然」といった要因で生まれた部分が大きいのではないだろうか。もちろん、知らなかったから何の問題がないとかそういう話ではない。
コロンブス以外の偉人2人はベートーヴェンとナポレオンなのだが、MVのコンセプトに「もしも生きた時代の異なる偉人たちが一緒に旅をしたら?」とあるのに、2人は思いきり同時代人だ。
「交響曲第三番『英雄』はナポレオンに捧げられていたが、ナポレオンが皇帝になったことで失望し怒ったベートーヴェンはナポレオンへの献辞を抹消した」という有名なエピソードがあるが、そう考えるとベートーヴェンはナポレオンにいい感情はないわけだし、同行者として2人はどうなのだろう。