53本目・『野性の証明』
ものすごいオールスター映画である。
この映画の三年前に公開された『新幹線大爆破』と似たキャスティングの部分があるが、監督(佐藤純彌さん)とプロデューサー(坂上順さん)が同じである。
むかし、坂上順さんに松山の市民会館でお会いした。
1985、6年頃だ。
薬師丸ひろ子さんのコンサートが市民会館であり、その取材に訪ねたのだ。
私はいま、松山に住んでいる。
高校卒業までも住んでいたがその頃は年にいちど帰るかどうかの頃だった。平凡パンチの取材であった。
坂上順さんは東映東京のプロデューサーであり、名前はもちろん知っていた。中学生のとき、『新幹線大爆破』を見たのも松山の東映グランドだった。その他、空手映画やヤクザ映画で名前はよく見ていた。
平凡パンチのキャップは松山に向かう私にこう言ったのだ。
「さかがみじゅんさんという人が松山で対応してくれるから」
薬師丸ひろ子のコンサートに東映のプロデューサーが帯同しているなどとはまさかの思いもしないので私はてっきり『坂上ジュン』みたいな字を連想していた。純、でも、潤でもいい。ともかく私は女性を連想してしまっていた。
いや、どうか。
たぶんキャップがそう言ったのではないか。女性が対応してくれる、みたいな。