人権派格闘技漫画の最高峰『テコンダー朴』を世に送り出した義士・白正男先生が、日本人に正しい歴史認識と人権思想を啓蒙すべく、筆を執っている本連載。今回は白先生が警察という権力の恐ろしさを身をもって体験することになった学生時代のお話。
警察とのバトルに備えた小学生時代
小学生の頃、親の本棚で見つけた『無法ポリスとわたりあえる本』という本のせいで、アンチ警察になっていた時期があった。交通違反の不当な押し付けや職権乱用による人権侵害の事例を紹介し、それに対抗する具体的方法を解説したアンチ警察本。
それまでは「お巡りさんは正義の味方」とか思っていた無邪気なキッズだったが、「警察は市民の敵」「警察は国家権力の暴力装置」という当時の自分にとっては目新しい世界観に魅せられて全3巻を読破。本に書かれていた警職法、道交法、判例などを暗記し、来たるべき警察とのバトルに備えた。しかし当たり前だが小学生に職質する警官などいるはずもなく、1カ月くらいで飽きて黒歴史になっていた。
それから数年後、原付バイクに乗るようになったことで警察と接点が生まれて、色々と嫌な目に遭った。免許証の提示を拒否したら集団で囲まれて恫喝された。殴られたことはないが、わざと体をぶつける嫌がらせを何度かされた。当時の警察、特に交通警察は公営暴力団そのもので、警官の態度はヤクザ顔負けだった。いつか自分がスターリン並みの権力を手に入れた暁には、■■区の警官を全員シベリア送りにすることを固く心に誓った。
それから更に数年後、警察の恐ろしさを異国の地でも体験することになる。インドのカルカッタを訪れていた自分は、宿で知り合った鈴木君(仮名)と共に街を歩いていた。鈴木君は東京の某大学の学生で長期休暇を利用してインドに来ていた。鈴木君も自分もインドに来てまだ日が浅く、初めてのインドだった。