ハロウィンの日も実際町に繰り出してみて視線は厳しいかもしれない、見られる顔つきは怪訝なものかもしれない、だがしかし。家の近所から駅前に向かい、電車に乗るのは難しく諦めたとしても線路伝いにターミナル駅のほうに、そして向かう目的地の学校だったりクラブだったり繁華街そのものだったりに向えば向かうほど仮装した仲間が増えてくる。そのときにはもう怖くない。むしろ画期的に高揚しているだろう。それはなにか革命の夜にも似た、自分を苦しめているつまらない日常に対する逆襲の瞬間なのである。
ガメラは子供が好きだ。のちに善玉寄りになるガメラも初登場の本作では完全なデストロイヤー。街を破壊し人を殺す。だがそれでもすでに子供に対してはささやかながら優しさが向けられるし子供もガメラに優しさを向けている。初めての出会いからすでに両想いなのだ。
そしてそもそも子供は怪獣が好きだ。
なぜ好きなのか。
子供もまた、ハロウィンの若者たちにも似た思いを持っているのだと私は思う。日常に対する逆襲心である。次回につづく。
※前回記事はこちら→「『大怪獣ガメラ』その1」
『大怪獣ガメラ』(1965年・大映)
出演/船越英二、山下洵一郎、姿美千子、霧立はるみ、内田喜郎、北原義郎、藤山浩二、三夏伸、浜村純、吉田義夫、左卜全
企画/斉藤米二郎
脚本/高橋二三
撮影/宗川信夫
特殊撮影/築地米三郎
録音/渡辺利一
照明/伊藤幸夫
美術/井上章
音楽/山内正
監督/湯浅憲明
出演/船越英二、山下洵一郎、姿美千子、霧立はるみ、内田喜郎、北原義郎、藤山浩二、三夏伸、浜村純、吉田義夫、左卜全
企画/斉藤米二郎
脚本/高橋二三
撮影/宗川信夫
特殊撮影/築地米三郎
録音/渡辺利一
照明/伊藤幸夫
美術/井上章
音楽/山内正
監督/湯浅憲明
※10月4日、杉作さんの新刊『あーしはDJ』(イーストプレス)が発売されました!
<隔週金曜日掲載>
画像/『大怪獣ガメラ』、wikipediaより(パブリックドメイン)
PROFILE:
杉作J太郎(すぎさく・じぇいたろう)
漫画家。愛媛県松山市出身。自身が局長を務める(男の墓場改め)狼の墓場プロダクション発行のメルマガ、現代芸術マガジンは週2回更新中。著書に『応答せよ巨大ロボット、ジェノバ』『杉作J太郎が考えたこと』など。
twitter:@OTOKONOHAKABA