第9回 流行語大賞を逃す】【折田楓は悪くない】【吉田豪の炎上】
最近、僕は「箕輪世界観」という名前で活動している。今後は「トンマナ」が重要になると思って、この名前に変えているのだ。「トンマナ」とは、「トーン&マナー」の略称で、デザインやスタイル、文言などに一貫性をもたせるルールを指す業界用語だ。
内容を理解しようとする人が少ない現代においては「なんとなく真実を言ってそうだな」とか「優しそうだな」と思われる雰囲気づくりが何よりも大事。
例えば大ヒットしたフジテレビの『人志松本のすべらない話』もそこで披露される芸人たちの話が特別面白いかといえばそんなことはない。話している内容は『ごきげんよう』などの別の番組で語られるものとほとんど同じなのだ。
結局、あれはショーアップされたあの空間の雰囲気によって爆笑が生み出されている部分が多い。緊張感がある場面でみんなが耳を傾けているからこそ、生み出されるものなんだと思う。
兵庫県知事選挙で現職の斎藤元彦さんの再選に一役買った立花孝志さんとか、アメリカの大統領に4年ぶりに返り咲いたドナルド・トランプも、結局は「トンマナ」。受け手が抱くイメージを何よりも重要視しているというわけだ。
【流行語大賞を逃す】
例年ユーキャン(通信教育の最大手)が発表している「新語・流行語大賞」。
2024年の年間大賞は、昭和から令和にタイムスリップした主人公が価値観の違いに戸惑いながら奮闘する姿をコミカルに描いた宮藤官九郎脚本のTBSのテレビドラマ『不適切にもほどがある!』を略した「ふてほど」が選ばれた。
僕が編集した元放送作家・鈴木おさむさんの著書『仕事の辞め方』で話題になった言葉「ソフト老害」は、ノミネートされた30語のなかに選ばれたものの、結局トップ10にも入れずに、あえなく落選してしまった。