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女ヤクザ細木数子:ロマン優光連載199【2021年11月12日記事の再掲載】

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199回 女ヤクザ細木数子

編集氏から細木数子氏について書いてほしいという要望があって、あれこれ考えていたが、彼女のような存在がテレビの地上波のゴールデンタイムの番組にひんぱんに登場しスターであるかのように扱われていた時代があったということを考えると、あらためて不思議な気分になる。

そのことについて、島田紳助氏と並べて考える人もいるのだけど、その二つはなんだか違うような気がする。島田氏というのは芸能の世界で人気を得ていく過程の中で、あちらの世界と密接な関係を持つようになり深入りしてしまった人である。島田氏の例に限らず、同じ漫才コンビ内でも、一人があちら側と親しく付き合い、その力をバックに社内で権力を持ち、もう一人は賭場に出入りし博打で借金まみれというように、芸能人とあちら側との付き合いといっても色々あるわけだが、 彼女の場合は、あちら側の世界と密接に関わりがあった人間がそこと距離をとりつつ占いを使った虚業をはじめ、それでもって財をなしたという例だ。あちら側にいた人が業界の裏側に入り込んだり、占いビジネスで成功するなどの過程を経て、表でスターになった例である。ゼロ年代の中でも特異な存在だったと思う。

私が細木氏を最初に認識したのは、うさんくさい占い広告の写真にうつっている人としてであった。それが気づいたら、テレビで芸人に対して高圧的な態度で適当なことを言ってる、何だか知らないけど偉そうな人になっていた。言ってることにも感心しないし、態度が偉そうで不快でしかないし、何でテレビに出ているのかも謎。そんな存在である。

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当時は、溝口敦氏のルポタージュ『魔女の履歴書』に書かれているようなことはまだ知らなかったわけだが、占いビジネスに対する批判はスピリチュアル業界好き(スピリチュアルが好きな人ではなく、スピリチュアル業界の話が好きな人)で詳しい人から聞いていたりはしたが。

過去の反社会勢力との関係。島倉千代子氏に対する搾取と見なされる行為。オカルトビジネスの手法。どれをとっても、今の時代ではあのような形でスターになれるわけがない要素ばかりではあるが、それとは別にあのようなキャラクターが人気をはくしていたことが当時から不思議でならなかった。普通、あんな高圧的でめちゃくちゃなことを言って自分を従わせようとする人に日常で会うことがあったら絶対嫌でしょう?

そうはいっても、力強く断言してくれる人が好きな層はいつでもいるわけで、歯に衣を着せない毒舌でスカっとさせてくれる存在としてニーズがあったのだろう。訃報直後とは思えないくらい、SNS上では悪い話が飛び交ういっぽうで「好きでした」という人も多くいる。細木氏の詳しい履歴は知らず、テレビの印象だけで語っているのだろうけど、そもそもテレビ上の振るまいを好意的に受け入れていた人がそんなに多いことに改めて驚いた。だいたい、細木氏が偉い立場で番組に出てくることに「この人は何の根拠でこんなに偉そうなのか?」という疑問がうかんだりしなかったのだろうか。まあ、そういうことを言うと、「テレビをそこまで真面目に見ている人はいない」ということを言われるわけだが、確かにその通りではある。

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