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自分が今通っているアイドルの曲は『楽曲派アイドル・ガイドブック ももクロ以降のアイドルソング再考』には載っていない:ロマン優光連載326

連載
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サブカルチャー雑誌、イベント、アイドル運営を手掛けてきた「TRASH-UP!!」の屑山屑男・シマダマユミ両氏に対するインタビューについては両氏がアイドルシーンにイベンター・運営に関わるまでの流れが簡略化されすぎで、聞き手が自分の好きな界隈に繋がってそうなもの以外を意図的に排除しているようにも見えなくはないが、これは聞き手が15,6年以前の地下アイドルシーンについてよく知らないために掘り下げられなかっただけだと思う。

ただ、両氏が10年代初頭にBiS以降の流れのアイドルだけではなく、ねがいごと、choice?STARMARIEといった特異な個性を持つアイドルの現場に通っていたこと、それらの影響が後の活動に繋がっているという重要なポイントを取り逃がしているのは残念である。ただ、二人のアイドル音源ベスト3にはねがいごと、choice?の作品が取り上げられており、重要なヒントになっている。

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CDR音源が取り上げられていないことでシーンにおいて重要なグループや音源が言及されていないという問題もある。無数に発売されたCDR音源まで含めると、選別が大変だし、今では入手不可能なものもあるが、2013年以降の地下アイドルシーンにおいてCDRは重要な役割を果たしており、そこを除外すると歴史的認識から抜け落ちるものが多く出てきてしまう。これは「楽曲派」というくくりを考慮せずに、著者が通う界隈の歴史的な認識に関わってくる部分だと思う。

こういうディスクガイド要素の強い本が出ると何が入ってる、何が入っていないという話になりがちだが、個人のセンスの問題なので言っても仕方がない。CDR音源を排除したために、多くのグループが除外され、よけいに言われやすくなってしまったのはある。ただ、選ぶ際に落としたのか、最初から知らなかったのでは全然違う話になるわけで、「TRASH-UP!!」の二人に対するインタビューでも感じたことだが、過去のシーンに対する知識の少なさゆえの取りこぼしは感じる。そこはもったいない。

個人の知識には限界があるわけで、過去のシーンについて詳しい人に協力を求めるなど、より多くの人の協力があればより良い本になったと思う。ただ、著者、特に商業出版の経験のないタナカ氏がここまでの本をつくったことは大変なことであり、評価するに値する。

自分などはシーンを盛り上げようという気持ちが起こることもないので、そういった志は立派である。

また、こういう細かいことを言い出すような人間に向けての本ではなく、あくまで入門書であり、タナカ氏には次の展開を目指して頑張ってほしいと思う。

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