連載一方、アタシが初めて帝国劇場に足を踏み入れたのは1989年6月、高校3年のときだったわ。前年に日本で初めて上演されたミュージカル『レ・ミゼラブル』がどうしても観たくて、親にねだってチケットを買ってもらったの。
その後、帝劇では、『ミス・サイゴン』『イーストウィックの魔女たち』『スウィーニー・トッド』『ローマの休日』『モーツァルト！』『ラ・マンチャの男』『ビューティフル』……といろいろなミュージカル作品を観たけど、何と言っても思い出深いのが、今からちょうど10年前、2015年3月に行われた『レ・ミゼラブルのどじまん・思い出じまん大会』に出場し、帝劇のステージで歌ったこと！
ちなみに、帝劇のモニターが少し離れた場所にあったせいか、返しが全然聴こえなかったし、小さいライブハウスとかと違って、天井や壁から自分の声が跳ね返ってくることもないので、まるで真空の中にいるみたいに、自分の声が口から出たとたんにスッと消えていくような、不思議な感覚を味わったの（のちに、帝劇に何度も出演されたミュージカル俳優の方にその話をしたら、「だから帝劇は『試される舞台』と言われている」とおっしゃっていたわ……）。
一度あのステージに立てただけでも十分幸せなことなんだけど、できればもう一度、あの真空感を味わいたかった……。新しくなった帝劇でも、また歌うことができますように！（欲張り）
写真／Wikipediaより（撮影／Kakidai）
＜水曜日掲載＞
PROFILE:
エスムラルダ（えすむらるだ）
1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」（ポット出版、共著）
twitter：@esmralda001
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