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PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
1972年生まれ。高知県出身。「ロマンポルシェ。」のディレイ担当。ソロのパンク・ロック・ユニット「プンクボイ」としても活動している。近著に『嘘みたいな本当の話はだいたい嘘』など。
X:@punkuboizz
「お前ほんとなんなんだよ!」
まず最初に断っておくが、私は恋愛漫画というジャンルの良い読者ではない。それなりには読んできているが、そこに没入することがあまりなかった人間だ。結局のところ、私はロボットや不良が闘うような漫画が好きなのである。しかし、そんな人間でも心に残っている恋愛漫画は存在するわけで、それらについて触れていこうと思う。
改めて恋愛漫画というジャンルについて考えてみるに、あらゆるジャンル漫画に共通する問題であるが、恋愛を扱っているだけでは恋愛漫画ではないということがまず思い当たる。『日出処の天子』(山岸凉子)では確かに厩戸王子と毛人の2人の恋愛関係が大きな役割を果たしているが、あれを恋愛漫画と呼ぶことには疑問が残る。『谷仮面』(紫田ヨクサル)もそうだ。作品のテーマを表現するのに恋愛が大きな役割を占めているが、恋愛自体がテーマというわけではない。恋愛漫画とは恋愛それ自体がテーマであるものと考えるべきだろう。
また、登場人物の恋愛それ自体が作品のテーマになっていても、登場人物の心理や行動に読者を共感させるものがなければ、恋愛漫画としては機能しない。逆にどんな突飛・異常な人物設定でも、その心理や行動が読者に「あるある」と思わせるならば、それは恋愛漫画である。
あと、主人公及び相手役は不自然なまでに複数の異性から好意を寄せられるのも重要なポイントかもしれない。それはバトル漫画の主人公が不自然なまでにバトルを挑まれるのと同じことなのである。