〈どうしても言っておきたいことがある…それは日本中の長嶋茂雄ファンのなかで、僕こそが一番の長嶋茂雄ファンだということを…〉
複雑怪奇な親子関係は一茂本人にしか分かるまい。
「一茂が父を尊敬しているのは間違いないけど、本来的に思いが強すぎる。父が脳梗塞で倒れた際、記者会見を開いて病状を説明したのは一茂だった。その一方で、昔からの番記者たちに対しても『親父を食い物にしている!』と怒鳴り、周囲は困惑しきりだった」(別のスポーツ紙記者)
このような一茂の歪な性格を露見することになったのが、前出の週刊文春による直撃取材だった。長嶋家の確執について文春記者に尋ねられた一茂は「あなたたちに協力する気はないんで」と言い放ち、終始不機嫌な様子だった。
——茂雄さんと最後に会ったのはいつでしょうか?
「弁護士から訴状いかないように気を付けてね。俺はすぐやるから。大丈夫? 君たち個人的に訴状送られるよ?」
見城氏など、発言力のあるメディア関係者がバックにつき、調整役を買って出ていることなどつゆ知らず「訴状」などと物騒な言葉を持ち出すあたり、「長嶋家に生まれた裸の王様の悲哀を感じる」(前出・スポーツ紙記者)。
ロイヤルファミリーの長男として生まれた男の懊悩は、今後も続いていく。
文/中島和夫
写真/Wikipediaより(撮影/江戸村のとくぞう)
初出/実話BUNKA超タブー2022年2月号