八村はもはや『SLAM DUNK』超え
NBAのプレーオフが開幕し、ロサンゼルス・レイカーズの八村塁が活躍している。
4月19日に行われたメンフィス・グリズリーズ戦では、途中出場ながら20得点を記録。ベンチスタートからの2試合連続20得点は、あのマジック・ジョンソン以来の快挙だ。
少し前までは、日本人がNBAで活躍することは、想像すらできなかった。
実際、1990年に連載された人気漫画『SLAM DUNK』では、作中最強の沢北栄治がアメリカ留学で壁にブチあたる描写があり、また、安西監督が10年に1人の逸材と称した谷沢も、アメリカで通用せず腐っていく様子が描かれていた。
アメリカで活躍する八村の存在は、すでにフィクションの世界を超えていると言える。
では、八村の活躍は本場アメリカでどの程度として捉えられているのか?
かなりざっくりとした判断基準になるが、『SLAM DUNK』の登場キャラを例にして考えてみたい。
巨大スリーポイントシューター
まず、八村のNBA通算スタッツは、平均得点が12.5pt、リバウンドが5.0本、アシストが1.3本となっている。これにそっくりの成績の持ち主が山王にいる。沢北に次ぐ実力者、河田雅史である。
河田は湘北戦で、15得点、2リバウンド、0アシストを記録。八村の成績とかなり近い。むしろ、八村はリバウンドを多く取っているので、ゴール下の存在感は河田以上と言えるだろう。
さらに特筆すべきは、八村の体格とプレースタイルである。
『SLAM DUNK』では、河田は希少価値の高い選手として描かれている。デカい選手にしては珍しく、シュートレンジも広いのが異色だというのだ。
しかし、これにおいても八村が上回る。八村の身長と体重は公称で203センチ、104キロ。一方河田は194センチだ。八村の方が10センチも大きい。
シュートも八村の方がうまいだろう。
河田はシュートレンジが広いといえど、ミドルシュートはやはりメインではなく外す描写もある。それに対して八村はスリーポイント成功率(最高)44%を誇るシューターでもあるのだ。
スリーポイント成功率は40%を超えると合格と言われる。
『SLAM DUNK』で最もデカい選手である魚住純が202センチ。八村は魚住以上の体躯を持ちながら、神宗一郎ばりのスリーポイントを決めているのだ。
まとめる。
アメリカ人から見る八村は、湘北戦の河田くらいの活躍を毎試合しており、魚住以上のスペックで神のようなシュートスキルを持っている。
このように見えていそうなのである。
繰り返しになるが、八村の活躍は『SLAM DUNK』を超えているのだ。
文/編集部
写真/『Number』1015号(2020年、文藝春秋)