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PROFILE:
劇画狼(げきがうるふ)
特殊出版レーベル・おおかみ書房代表。プロ作家の単行本未収録作品の書籍化や書評、イベント司会、原画展企画などを行う。
X:@gekigavvolf
それでも最終的に登場人物のほぼ全員が幸福になる
「とんでもない恋愛漫画を3作」という依頼を受けて本棚を探ったが「恋愛が真っ当に成就してキラキラしたりポカポカする作品」のラインナップが壊滅していた(『絶愛』とか『少女菜美』はシリーズ全巻ある)ので、今から書くことは依頼内容をサクッと無視したものになる。
1作目は「恋愛以外の物量がとんでもない恋愛漫画」こと、『金剛寺さんは面倒臭い』だ。この漫画はとにかく余計な情報量が多い(褒めてる)。メインキャラクターである金剛寺さん(人間)と樺山くん(鬼)の恋愛描写はしっかりと描かれていくのだが、まず樺山くん(本名:樺山プリン)が「鬼」という時点で余計な情報が多い。
よくある恋愛漫画のセオリーだと「出会い、告白、初デート、ケンカしつつ仲直り、キス」と段階を踏んで進んでいく展開をイメージされる方が多いと思うが、本作では2人が出会い、握手を交わし、正式に交際するまでの間にカゲロウが爆死して未来のメジャーリーガーが野球に目覚め、強盗団が壊滅する。初めてのキスの裏側ではアトランティス帝国が侵攻を開始し、さらに巨大隕石が飛来し、そしてそれを謎の変身ヒーローが食い止める。謎のヒーローは樺山くんの角を切断し、あれよあれよという間に地獄と極楽の最終戦争が勃発。紆余曲折の末に金剛寺さんと樺山くんの物語は5巻でハッピーエンドを迎える。
…が、そこで物語は終わらず、アトランティス帝国から足が生えた謎の巨大蛇が爆誕し、エビフライが世界中でブームを巻き起こした結果エビは知的生命体に進化し、地下世界に迷い込んだ金剛寺さんは河童と相撲対決をする。顔ダニの大群が見開きで必要以上に登場する。