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「このバカ漫画がとんでもない」劇画狼のTOP3

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バカ漫画。定義はないが、バカな漫画であることはたしかだろう。当然ギャグ漫画もその範囲内だ。とびきりバカだと思う作品を、バカ漫画のスペシャリストたちに選んでいただいた。今回は劇画狼さん。

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PROFILE:
劇画狼(げきがうるふ)
特殊出版レーベル・おおかみ書房代表。プロ作家の単行本未収録作品の書籍化や書評、イベント司会、原画展企画などを行う。
X:@gekigavvolf

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第一印象と読後感が「いい意味で全然違う」

「あらすじと設定だけ見るとバカ漫画としか思えないが、読み始めてみるとカッコよすぎて逆に笑うしかないマンガ」で3作。

まずは西野マルタ氏の相撲SF漫画三部作の第二部、「技の横綱編」である『五大湖フルバースト』だ。

アメリカの国技が“相撲”となった未来世界、 新たな相撲の聖地となったデトロイト・スモー・ガーデンに君臨する横綱・五大湖。四十八手の先を行く四十九手目の必殺技・デトロイトスペシャルで史上最高の200連勝を成し遂げ、技の横綱として称賛される絶対王者だが、病に蝕まれ引退の危機に陥る。そこに現れたマッドサイエンティスト、ドクター・グラマラスに魂を売り、全身を機械化したロボ力士としてカムバック。空中を自由自在に飛び回り全身からミサイルを発射するその蛮行を止めるものは誰もいないと誰もが思ったその時、石像として眠っていた伝説の横綱が復活する!

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…という、何度読んでも理解しがたい怪作なのだが、読み始めてみると回想シーンを効果的に交えつつ、師弟愛、親子の絆と葛藤、そして魂の継承など複数のテーマをこれでもかと盛り込んで疾走する極上の全2巻となっている。また、ストーリーだけでなく作画面でも「バカか?」の先に突き抜けており、銅版画と見紛うような緻密な描き込みをフルアナログで仕上げる作画カロリーにも注目してほしい。

作者によると、相撲SF漫画三部作は「心・技・体」の三部作構想とのこと。第一部『両国リヴァイアサン』第二部『五大湖フルバースト』に続く『心の章』の執筆予定は未定だが、いつまでも待ち続けたい。

作者・西野マルタ氏はこの作品以外でも相撲愛を爆発させており、短編集『えんこうさん』はなんと「人間が河童と相撲対決をする短編だけ収録したもの」という奇書だ。特に、髪が薄くなって大銀杏を結えなくなった大関が、どんな病気でも治る河童の軟膏欲しさに関ヶ原地下河童闘技場に河童のコスプレをして出場する「小銀杏譚」は、設定だけ読むとバカ漫画だとしか思えないが意地とコンプレックスと自己肯定をバランスよくまとめ切った傑作なのでこちらも大推薦。

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