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辻田真佐憲に訊く 正しく歴史に向き合うためにすべきこと

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SNSが情報収集のメインツールとなる中で、わかりやすい極論が影響力を持ちやすい時代となっている。右派的な極論にも左派的な極論にも陰謀論にも取り込まれることなく、正しく歴史と向き合うにはどうすればいいのか。辻田真佐憲氏にうかがった。

PROFILE:
辻田真佐憲(つじた・まさのり)
1984年、大阪府生まれ。評論家・近現代史研究者。慶應義塾大学文学部卒業。単著に『「戦前」の正体』(講談社現代新書)、『防衛省の研究』(朝日新書)、『超空気支配社会』(文春新書)、『大本営発表』(幻冬舎新書)、共著に『教養としての歴史問題』(東洋経済新報社)、『新プロパガンダ論』(ゲンロン)、監修書に『満洲帝国ビジュアル大全』(洋泉社)、共編書に『文藝春秋が見た戦争と日本人』(文藝春秋)など。
X:@reichsneet

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65点の歴史を許容・共有すべき

――最近の時事ネタですが、椎名林檎がフェスに出演した際、旭日旗をモチーフにしたと思しきグッズの小旗をファンが振る映像がテレビで流れ、SNSで炎上するという話題がありました。それ以前にもアイドルやアーティストが、戦争や軍事をモチーフにしたアイテムを使って炎上することがありましたが、そういった事象が繰り返されるのは、なぜだと思いますか?

辻田真佐憲(以下、辻田) 個別のケースごとに当然事情は違うので、一概には言えません。しかし炎上しがちな歴史、センシティブなテーマというのは存在するので、こと若いアイドルなどに関しては、運営側がそれを避けてあげないと、その子が可哀想ですよね。ただ、もしアーティストが自分の意志でやっているなら、炎上や批判を受けても、きちんと説明すればよいと思います。日本には言論の自由があるわけで。とはいえ、大きく言うとしたら、歴史に関する知識や理解がある人が少ないというのは、根本の問題としてあると思いますね。

――歴史教育が少ないということですか?

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辻田 いや、どれだけ教科書を読ませたり、歴史教育をしっかりやろうが、炎上するときは炎上すると思います。ただ、その〝確率”を下げることはできるはず。そのために日本の場合は、国立の近現代史の博物館を作って、歴史認識に関する基礎的な土台を作るべきだと。私の『「あの戦争」は何だったのか』でも書いていますが、日本はそれが諸外国に比べて圧倒的に遅れている。

――ただ、第二次世界大戦の日本のありかたを、右翼は肯定的に、左翼は否定的に捉える側面があるので、展示のバランスは難しいのでは?

辻田 なので、僕は〝65点の歴史観”という言葉を提唱しています。もし近現代を取り扱う博物館を作るなら、そのベースは自国史の肯定でいいと思います。ただ、35%ぐらいは加害を含めたネガティブなことをちゃんと位置づける展示をすべきだと。そういう意味での〝65点の歴史観”ですね。トランプ政権下で不透明になっている部分があるとはいえ、アメリカのスミソニアン博物館(国立アメリカ歴史博物館)も、日系人を戦時中に収容したことは間違いだったと書いているし、原爆投下が正しいとも書いてないわけですよ。そういうバランスを取っている。日本の左翼の良くないのは、近現代や戦争をもう暗黒だけで埋め尽くそうとしてしまう。それは公共の博物館では絶対に無理です。そうじゃなくて、中間層が納得できるような、65点の博物館を作って、みんなが認識のベースにするべきだと思いますね。

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