バカなブームにバカが集まる
近頃、意識高い系の人たちや広告代理店が喧伝している「SDGs(持続可能な開発目標)」。このエコな概念を通して昨今のキャンプブームを眺めてみても、その滑稽さが浮き彫りになる。
「SDGs」と、「キャンプ」。これらは、一見、親和性が高そうに見える。しかし、貧困や格差をなくし、地球環境にも優しい社会を目指すSDGsと、煽られるままに高額ギアを買い漁り、経済的格差がインスタの投稿にそのまま現れる今のキャンプブームは、真逆に位置するものと言っていい。
数万円の焚き火道具が飛ぶように売れ、40万円を超すアウトドア用スピーカーが抽選販売で即完。金と欲望が渦巻くキャンプビジネスに、YouTuberやインスタグラマーらも続々参戦。テレビ、雑誌、広告とさまざまなメディアや企業が便乗し、おこぼれを頂戴しようと躍起になっている。
既存商品にロゴを印刷した程度の、有り体に言えばゴミクズのようなキャンプギアが次々爆誕。それがあっさり売り切れるのだから、キャンパーの脳みそは正常な機能が損なわれているとしか思えない。
そんなSDGsにそぐわなすぎるゴミの代表として紹介したいのが「万能スパイス」だ。塩コショウをベースに、ガーリックやハーブ、化学調味料などを調合した、バカでも使える調味料。大手食品メーカーよりも、アウトドアショップやキャンプ系YouTuberがオリジナルブレンドで開発したものが多い。キャンプ芸人・バイきんぐ西村も、『バカまぶし』なる万能スパイスを監修している。
いずれの万能スパイスも、化学調味料や粉末ガーリックによって極度に味が強い。要は、ジャンクフードやスナック菓子の味だ。それを「美味い、美味い」と大絶賛するキャンパーたち。そんなバカのもとには、それを狙ったならず者が銀蝿のごとく群がってくる。