見るに堪えない醜悪番組
TBSのバラエティ番組『水曜日のダウンタウン』が人気だ。
ネットメディアの台頭や若者のテレビ離れが叫ばれて久しいなか、メディア研究家で放送作家の小林偉が日大芸術学部の学生を対象にアンケートを取ったところ、「今の大学生が見ているテレビ番組」の第1位には、「水ダウ」こと『水曜日のダウンタウン』が選出された。
アンケートに答えた学生らは放送業界や芸術界への憧れ・志向が強く、「人とは違うセンスの持ち主」を自称する若者らの意見をそのまま一般化していいものか、疑問は残る。しかし、水ダウが度々ネットニュースに取り上げられるのは事実で、話題性や注目度で今トップクラスにあるのは間違いないだろう。
これまで同番組を視聴したことがない人、日芸の学生に言わせれば「笑いのセンスがない人」のために、『水曜日のダウンタウン』の概要を簡単に整理しておこう。
2014年4月23日放送開始、当然、番組の冠はダウンタウンだ。とはいえ、2人が直接企画に関与することはない。浜田は司会者として、松本はコメンテーター(番組ではパネラーと呼称)としてそこにいる。要は、近年の彼らの本業だ。
芸人やタレントらが、自らの提唱する「説」を持ち込み、検証VTRをもとにプレゼンを行うのが概ねの主旨。検証作業には「ドッキリ」の要素を含んでいるケースが多く、その様子をスタジオ出演者がウォッチし、なんやかんやと感想を言い合うという流れだ。
特段に斬新なアイデアはない。タレント自らプレゼンするのも、観察対象を撮影し続けモニタリングするのも、ドッキリ的な仕掛けで強引に笑いを作るのも、極々ありふれた手法だ。陳腐でさえある。そんな番組が、なぜ人気を集めているのか?
有名どころでは、2021年10月20日放送の「『ラヴィット!』の女性ゲストを大喜利芸人軍団が遠隔操作すればレギュラーメンバーより笑い取れる説」も話題になった。
TBS朝の情報番組『ラヴィット!』では、番組中に数問のクイズが出題されるのだが、司会の麒麟・川島をはじめ芸人の出演者が多いことから、あえてウケを狙った「大喜利」的な展開になるのが定番化している。
そこへ水ダウが送り込んだのが、不思議系アイドルの「あのちゃん」。彼女の耳にはイヤホンが仕込まれ、別スタジオに待機した数人の芸人が大喜利の回答をあのちゃんに伝えるという仕組みだ。