花粉&豪雨地獄から酷暑、再び
つらい夏が終わり、あっという間に秋が過ぎ去ったと思ったら、極寒、豪雪の長き冬。だが、止まない雪はない。明けない冬もない。清少納言は「春はあけぼの(=春は夜が明けようとする頃が良い)」と言っているが、それはきっと、冬が明けて来る春の喜びも表しているんだ! 雪が溶けて川になって流れていって、つくしの子が恥ずかしげに顔を出し、桜舞い散る春がやって来る! 日本の春、最高!!
……って言う、あんたはどんだけ幸せもんなんだ。
2008年に全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象にした鼻アレルギー調査によると、花粉症の有病率は約29.8%。
国民の3~4人に1人は花粉症であり、花粉症の人にとって、春は地獄である。
2月から3月にかけて、スギ花粉。4月から5月にかけて、ヒノキ花粉。そのスギやヒノキは戦後復興の都市開発のために植林しまくったものであり、いうなれば花粉症は人災。狭い国土に広大なスギ林とヒノキ林があるのは日本だけであり、日本の国民病と言える。
昔から美しく素晴らしいと謳われて、歌われ続けてきた春を、日本人は経済発展という欲望のために地獄の季節にしてしまった。
ちなみに花粉症になると年間経済的損失は約20万円にもなるという試算があり。日本の人口は約1億3000万で、その30%=3900万人が1人当たり約20万円のマイナスだから、合計すると……7兆8000億円の経済的損失。
花粉症じゃない人にとっても他人事じゃない惨状だ。
地獄の花粉シーズンが終わったら、今度は地獄の梅雨。国土交通省の発表によれば、1971年から00年にかけての、日本の年平均降水量は1718mmで、世界平均880mmの約2倍。その数値以上に、毎年のように起きてしまう豪雨災害を見れば、日本の惨状はおわかりであろう。
梅雨は命を脅かす。
酷暑と豪雨の夏、そして極寒と降雪の冬。美しく素晴らしい“四季”改め、生きていくのがつらいだけの地獄の“二季”になってしまった、現在の日本。
それでもまだ、この国の四季は素晴らしいですか?
文/ダテクニヒコ
初出/実話BUNKA超タブー2021年10月号