日本の国土の半分は豪雪地帯!
「いや、夏を耐え忍べば、涼しくて過ごしやすい秋が来る」という向きもあろうが、本当だろうか。
気象庁の定義では9月から秋というが、近年では9月も残暑というよりも酷暑の真夏日が続いていることが多い。清少納言は『枕草子』で「秋は夕暮れ(が良い)」と言っているが、9月でも夕方はまだ暑いし、夕立、今で言うところのゲリラ豪雨に襲われたり。何なら10月まで台風被害があるのも当たり前になっている。
それらがようやく落ち着いたと思ったら、もう11月。気象庁の定義では秋になっているが、日本人のイメージとしては冬だろう。実際に2020年の初雪は11月3日、北海道の稚内で観測されている。
そう、日本は夏が酷暑で冬は極寒。国土の51%が豪雪地帯に指定されているのをご存知だろうか。
アメリカの民間総合気象情報サービス「Accu Weather」が2016年に発表した「人口10万人以上の都市の年間降雪量トップ10」によれば、第1位が青森市で約7.92m。第2位が札幌市で約4.85m。第3位が富山市で約3.63mと、なんと日本の都市がトップ3を独占しているのだ。
例えばニューヨーク。わりと雪が降っている都市だというイメージがあると思うが、年間降雪量で比べると青森市はニューヨークの10倍近くも降っている。
もちろん、人が住んでいない場所も含めれば、もっと降っているところもあるだろう。逆に言えば、人が好き好んで住むような場所じゃない豪雪地帯で暮らす、頭のいかれた日本人があまりにも多いということだ。
実際、2018年に起きた「北陸豪雪」。石川県から福井県にかけての国道8号線で動けなくなった車が一時、1500台以上にもなったというニュースは記憶に新しいだろう。あの豪雪で除雪作業中に屋根から転落するなどして、22名が亡くなっている。
命をかけてまで豪雪地帯に住もうというのだから、どうかしているとしか言いようがない。
「冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず(=冬は早朝が良い。雪が降り積もっているのは言うまでもなく素晴らしい)」などというのは『枕草子』の時代であって、今や日本の冬は人命に関わるレベルの極寒。
しかも家の中を暖かくしようとしないのだから、どれだけドMかっていう話だ。
イギリスやドイツ、フランスなどの欧州諸国では、人権保護の観点から、家は暖かくしなければならないと法令で規定されている。例えばイギリスでは室温を18℃以上に保てない賃貸住宅を改修、閉鎖、解体する命令を法に基づいて下すことができたり、寒い家に住んでいる人の保険料を高く設定できたりする。
対して日本にはご存知の通り、そのような法令は見当たらず。極寒の冬に電気毛布などを使って寝具は温めるが、室内は寒いまま。東北のほうではトイレに行こうと寝具から出たら室温が氷点下なんていうこともあり、「ヒートショック」で心血管疾患を起こして死亡する例もある。
雪下ろしで死に、心筋梗塞で死に、なのに家は寒い。それでもなお、「日本の冬は美しく素晴らしい」って、正気ですか?