Snow Manのラウール・渡辺翔太が出演する「月見フォカッチャ」のテレビCM。これに「社会的責任を放棄したかに見えるジャニーズ事務所と、モスバーガー。これらのユーザーは親和性が高い」と話すのは飲食業界に詳しいライターだ。いったいどういうことなのか？
ジャニタレを使い続けるモスバーガー
ジャニー喜多川元社長による性被害問題を受け、ジャニーズタレントを起用している広告がどんどん取り下げられる見通しだ。その顔ぶれを見ればJAL、東京海上、キリン、サントリーと大手が揃い踏み。特に、先陣を切って契約見直しを発表したアサヒグループホールディングスは、勝木敦志社長が取材に応じ「取引を継続すれば我々が人権侵害に寛容であるということになってしまう。取引を継続できない」と発言。多くの称賛を集める結果となった。
そしてそんな中、ジャニーズタレント起用の継続を明言しているのがモスバーガーを展開するモスフードサービスだ。
まさに「人権侵害に寛容」と思われかねない決断だが、モスバーガー側は「被害者救済と再発防止の実施状況を確認しながら適切に対応してまいります」などと何も言ってないに等しいコメントを繰り出すのみ。SNSには「残念」「あの会見を見た上での決断とは思えない」などと否定的なリアクションが並ぶ。
また、この事態の背景にはモスバーガーの不調が関係しているのでは、との議論も。曰く「モスは業績が悪い。逆張りしなきゃいけないくらいに追い詰められている」「国内需要が8割のドメスティックな会社だからできること。終わったも同然」。業界の事情に詳しいライター・御手洗フジヲ氏は言う。
「モスバーガーはありとあらゆるものの原材料費が上昇する昨今でも、商品価格の値上げを上手に行えていません。元々の高めの値段設定が災いしたと考えられます。また、手作り感を大切にしているというか、要は人手が必要なオペレーションを保持してきてしまったため人件費高騰の影響もモロに喰らいました」
同社8月発表の「2024年３月期第１四半期決算短信」によれば営業利益で前年同期比73.6％減と散々の業績だ。
「モスバーガーのユーザー層とジャニーズファンの親和性が高い、という観点もあると思えます。モスバーガーといえば競合各社が牛肉100％のパティを使用するのが当たり前な中、2013年まで延々と牛豚の合いびき肉を使用していたことで知られています。また、ソースというか調味料が前に出る味付けで、肉や野菜の素材を楽しむというよりは『調味』を味わうタイプの商品が多いわけです。これは世界基準で言うところの『ハンバーガーの美味しさ』とはかけ離れた料理です」
