漫画家の奥浩哉先生がXで『バービー』について「強烈なフェミニズム映画だった」と感想を述べてツイフェミに袋叩きにされていた。自分も『バービー』はフェミニズム映画だと認識しているが、しかしこの作品はフェミイデオロギーだけでなくアンチフェミの要素も随所に取り入れられており、全方位を殴っているようにも見える。普通に見ればフェミ映画だが、アンチフェミの要素に着目するとアンチフェミ映画にも見えてくる。
実際に米国では『バービー』は左派だけでなく一部の右派からも評価されているという。アンチフェミの要素は偶然入り込んだのではなく意図的に組み込んだのだろうが、フェミを背中から刺すつもりでやったとは思えない。本作品でのフェミ批判的な描写は「フェミ愛ゆえのいじり」の域を出てないように自分は感じた。
あるいは自虐的・自己批判的な仕草によって作品の強度と評価が高まると考えたのかもしれない。
『バービー』=『テコ朴』論、義士はこう考える
一応フォローしておくと『バービー』がイデオロギー塗れのつまらない作品かというと全然そんなことはない。ギャグやオマージュを織り交ぜながらテンポ良く進んでいくストーリー。ピンクを基調としたポップなビジュアル。歌もダンスもキレキレ。『バービー』はフェミニズム映画ではあるが、性別や立場に関係なく誰でも楽しめる娯楽作品に仕上がっている。説教くさいだけのフェミ映画ではないのだ。少なくとも自分は2時間席を立つことなく最後まで楽しく鑑賞できた。