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『ゴジラ-1.0』を観た:ロマン優光連載265

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ゴジラ部分で考えると、あの時代を選んだことでゴジラ(とそのバトル)を輝かせるのに素晴らしい効果があったのは間違いない。

ゴジラの巨大さを演出するには周りの建物との比較が欠かせないが、建物の背が高すぎるとゴジラもそれにあわせて巨大化せざるをえず、あまり大きくなりすぎると人間と並んだ時のイメージがしにくくなり、生々しい恐怖に欠けるきらいがあるが、この時代の建物はちょうどよい。あの大きさのゴジラだから、「人間を殺しにくる」感がでる。

GHQ支配下で軍備が解除されており、軍隊というものが本当に存在しない珍しい時期だ。ろくな兵器もなく、ゴジラの暴虐に対する無力感が強まり、ゴジラの恐怖がさらに高まる。また、 伝奇小説のようなやり方で歴史の隙間をぬって、監督が好きなマイナーな旧日本軍の兵器を出すことを可能にできたのも、この時代だからだ。

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ソ連との緊張問題でアメリカが軍を動かせないという理由で民間人がゴジラと戦うことになる展開も納得しやすい。

貧弱な武装しかないから、謎作戦でなんとかするしかないのもよいところだ。

そういえば、幾多の作戦に参加するが大破することなく終戦を迎えた雪風の艦長が出てくる意味を考えると、命は大事というテーマの本気度は高いのかもしれない。

少し演技の話をするが、太田澄子役の安藤サクラがすごくよかったとか、山崎監督は子役の使い方がうまいという話ではない。佐々木蔵之介が演じる秋津艇長の演技に色々言ってる人もいるが、ああいう人に実際にあったことがあるので、そういう人だと普通に思っていた。そういえば、新生丸の乗組員のメンバーの編成って、『ジョーズ』っぽい。

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