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『ゴジラ-1.0』を観た:ロマン優光連載265

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同じように、敷島浩一が雨に濡れた時に「びちょ濡れだ」(正確な台詞は覚えていない)と口に出していたことを「わざわざ口に出すのは変だ」と友人が言っていたが、ああいう人もけっこういるのではないかと思う。

というか、私は雨に濡れたら一人でも「ぬれた!」といいがちだし、仕事で重いものを持つときは一人でも「くそ重い!」とかいうし、あれはおかしくないということでないと困る。

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敷島の生き方

実は『ゴジラ-1.0』を観ている間、何度か泣きそうになった。敷島をみていると本当に泣きそうになる。

なすべきことをなすべきときにやらなかったため大切なものを失った男。

なすべきことをやらなかった後悔の中で生き、その日以来時間が止まっている男。

母との約束のために恥をしのんでみっともなく逃げて生きてきたのに、帰ってみれば母は既になく、今までの行動の意味を失ってしまった男。

自分を罰し続け、幸せになることは許されないと思い込んでいる男。

そういう生き方を捨てる決意ができたはずなのに、自分のせいでまた大切なものを失う羽目になった愚かな男。

敷島の言動には奇妙なところも多い。それは単に脚本が変なだけなところも多いのだろうけど、自分にはそれら全てが彼の心が壊れてしまっているからのようにみえた。

死んだまま生きているから成り行きのままに典子たちとの生活を受け入れてしまうし、それがかけがえのないものになったのに認めることもできない。生きてないから。

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