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裏金疑惑の安倍派を牛耳っているのは未だに老害森喜朗

社会
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そもそも、いまもなお永田町でのさばる森氏だが、かつての首相時代はどうだったのか。振り返ってみると見るに堪えない歴史ばかりだ。森氏が首相になったのは00年4月。脳梗塞で倒れ、緊急入院した当時の小渕恵三首相の後を継ぐ形での棚ぼた首相。しかも、決定は当時5人組と言われた自民党の実力者たちが「座りがいい。可もなく不可もなく」(当時の自民党幹部)と選出した。そして、就任1カ月で「日本は天皇を中心とした神の国」と発言して大きな波紋を呼んだ。また、翌01年には、ハワイ沖でアメリカ海軍の原子力潜水艦と衝突し、日本人9名が亡くなった「えひめ丸事故」が発生した際、本人はゴルフに興じていて事故の一報が入った後もプレーを続けるなどした。その結果、世論調査では支持率8%というかつてない一桁台に落ち、わずか1年で退任した。

「当時サメの脳みそとまで言われた。1年で降ろされた恨みを死ぬまで果たすつもりか。身の毛がよだつ思いだ。とっとと引っ込んでくれ」と足元の自民党中堅議員ですら言う。

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公明党嫌いで連立を解消したい麻生太郎

老害と言えば、こちらも御年83歳の麻生氏。今回の人事では、自分がキングメーカーとばかりに度々岸田氏に進言したという。麻生氏も、今回の内閣改造で茂木敏充幹事長の留任に向けて動きを見せていた。岸田派のベテラン議員が言う。

口の悪さだけは定評がある麻生太郎自民党副総裁。

「麻生さんは岸田さんに『萩生田は閣僚にしちゃだめだ。旧統一教会の解散請求のヤマが来るが、閣僚だったら国会で追及され、政権はもたなくなる』とか『茂木は幹事長をやりたがってるから留任させてやれ。その代わり、来年の総裁選は出馬せずにあなたを支持すると俺が約束させた』などと言ったそうだ。麻生さんは、党内で岸田さんを支えてくれている主流3派の1つ。総理は信頼しているが、逆に麻生さんはやりたい放題。『岸田は俺の言うことを聞くしかない』と、人事だけでなく財政政策や、最近では麻生さんが大嫌いな公明党との連立についても好き放題言い始めている」

公明党との連立についての発言とは、9月の福岡市内での講演で麻生氏が昨年の安保3文書改訂について触れたときのこと。その中で、連立を組む平和の党の公明党が抵抗し、山口(那津男)代表、石井(啓一)幹事長、北川(一雄)副代表の3人と支持母体の創価学会の名前を出した上で「(彼らが)がんだった」と言ったのだった。

暴言、失言、語彙力の欠如が有名な麻生氏だが、「がん」呼ばわりはさすがにひどい。背景にあるのは、公明党切りをしたい麻生氏の個人的な思いだと自民党ベテランは言う。

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「麻生氏は中選挙区時代から公明党とは散々戦ってきて関係は悪く、反公明・反学会のスタンスなのは霞が関では有名。自民党結党以来の悲願である憲法改正を成し遂げるためにも公明党は邪魔で、麻生氏は改憲に前向きな日本維新の会や国民民主党を見ています。ここ最近報道されている、国民民主との連立政権を水面下で進めているのは麻生氏です。ただ、現実的に選挙では公明党の協力がないと勝てない自民党議員も多く、そんな彼らからすれば、『麻生が勝手なことを言っている。選挙も近いのに現場を分かっているのか』ということ。彼らから党の選対や執行部にかなり批判が届いています」

年齢を重ねるほど意固地になり、他人の意見に耳を傾けなくなるのは世の常。インターネット上の言葉を借りれば〈キングオブ老害〉だ。

哀れ政界しか居場所がないのかもしれないが、とっとと退場して永田町の外で余生を楽しんでもらいたいと願うばかりだ。

 

取材・文/村嶋雄人
写真/松野博一:首相官邸ホームページより、下村博文:Department of Foreign Affairs and Trade websiteより、麻生太郎:Wikipedeiaより(撮影/Pollyanna1919)
初出/実話BUNKAタブー2023年12月号

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