お得意の対立構図を作る手法
年明けの2025年1月15日、前広島県安芸高田市長の石丸伸二氏が記者会見を行った。
「日本の再生を始めていきたい。まずは東京都から始める」
昨年11月の宣言通り、今夏の東京都議選に向けて新たな地域政党「再生の道」を立ち上げることを正式に発表したのだ。新党設立の理由についてはなんとも勇ましい言葉を並べた。
「議員の椅子にしがみつく政治屋を一掃したい」 「後ろ盾がなくても選挙に出られるシステムがあったらいい」 「生まれ変わるくらいの変化がいまの日本には必要」
そして、都議選の42選挙区すべてで候補者擁立を目指すと宣言した。と、これだけ見れば、何とも志の高い次世代の政治家が始動したかのようだが、その実は怪しさ満載。派手に打ち上げ、話題を作り、お得意のSNSなどを駆使して信者を作り、自らはそれを利用して高みを目指そうというのがミエミエなのだ。 会見は中身も薄く、突っ込みどころは山ほどある。昨年の都知事選の再来を狙っているが、それに有権者が引っかからなければいいが……。
石丸氏といえば、安芸高田市長時代に、YouTubeなどを使って作り上げた「石丸劇場」が代名詞だが、今回もまさに最初からそれを繰り広げた。 石丸氏は予定していた1月15日の記者会見の2日前になって、なんと突然自身のXで〈中止になりました〉と投稿。
フォロワーやネット住民は当然大騒ぎだ。石丸氏はその理由を〈都庁記者クラブ宛に出した案内がネットに流出し、日時と場所が広く知られてしまったことが原因。記者クラブには『取材目的の希望者は出席を制限しない』と言われたため、誰が来るかわからない状況は種々のリスクが高いと判断した〉と説明した。
しかし、やめたわけではなかった。都庁記者クラブの会見室から都内の貸し会議室へ場所を変更し、予定通り15日に会見を実施すると発表。 ところが、今度は出席者を大幅に限定。メディアへの参加条件として「マス媒体の有無」か「登録者数100万相当のネット媒体を有するか否か」を掲げ、事実上、フリー記者やネットに記事などを展開しているライターを排除した。