もとからそんなだったのに『ドラゴンボール』ではバトルシーンのスピード感ある描写が加わってきた。いやほんと、別に何か特別に描きこんだりしてないのに、やたら速く見える。
鳥山先生のデザインするキャラクター、メカの素晴らしさについても、今更言うまでもない。人間も動物もクリーチャーもメカもポップで可愛い造形がされている。その上、メカとか実際に存在しそうな感じもする。三次元にした時の様子が用意に想像できるデザインというか。
デザインとかイラストとかプラモとか、大人になった今だと先生のバックボーンからあれこれ考察することもできるだろうけれど、当時、リアルタイム(小学校低学年)で『Dr.スランプ』に触れたときに思っていたことは「絵が可愛い!」ということで、その革新性とか凄さとかは全くわかってなかった。なにぶん子供なもので、最初に触れた漫画の一つだから、それが新しいとかわからなくても仕方がないのである。あと、ブビビンマンのことを「なんか、かっこいい」と思ってました。
サイヤ人編に突入してから完全にバトルに振り切ったなという印象があった。最初のピッコロ大魔王との厳しい闘い(生まれ変わったピッコロは「悪」というより「強い」というイメージが強く、悟空戦はなんだかんだでさわやかな闘いだった)の中にも存在した牧歌的な部分、ユーモラスな部分が後退し、ひたすらハードになったように感じていたし、そこが新鮮だった。
ただ、それはいままでの物語があってこそ、突然の変貌(と私は感じていた)に衝撃を受けたということで、今までの話の雰囲気がなければ、あれ程サイヤ人編を好きにならなかったかもしれない。サイヤ人編以降は同じトーンでバトルが連鎖していくばかりで飽和状態のように感じることもあった。
サイヤ人編で好きなところはヤジロベーの最後のまともな活躍があるところだ。餃子もそうだが、ああいうバトル全振りでないタイプのお馴染みのキャラがバトルの中とはいえ最後に大きな活躍ができたという部分がサイヤ人編が好きな理由の一つでもある。