ただ、鳥山先生が漫画家にならなかったとしたら、現代の漫画はだいぶ違うものになっていたのは間違いないと思う。バトル漫画の戦闘表現もだいぶ変わるだろうし、悟空がいなければ、ルフィもゴンもいないだろう。『WORST』の花もいないかもしれない。
鳥山先生の凄いところは辞めたくても辞められない状況の中でマスに向けた高品質な作品を描き続け、作品を破壊することなくやり切ったところである。
多くの作者の意に反した長期連載作品がちゃんとしたフィニッシュをむかえられず、グダグタな終わりかたをしたり、人気急下降で尻切れトンボ状態で打ち切られたり、ラストバトルの相手が変なカニみたいな小者だったり、編集部に対する呪詛みたいな長台詞を言わせたり、ほとんどネーム状態で掲載されたり、面白いけれど完全に歪な話になってしまったり、変なことになりがちだ。しかし、鳥山先生はそういう状況でも読者に向けた面白い作品をつくることを諦めなかったし、面白い作品のまま終わらすことができた。それはやっぱり凄いことだったと思う。
次に友達と話すときは兎人参化とか『ドラゴンボール』初期の悪役たちの話がしたいな。