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韓国映画『成功したオタク』がスゴい:ロマン優光連載283

連載
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当初のプランでは未だに支持を続けるファンに会いに行き、それは何故かを聞いてみたいという思いがあったという。オ・セヨンは何故そんなことをするのか理解できないと思っていたから。それが、自分と同じように推しに対する怒りを抱えたオタクたちと会ったり、新聞記者の勧めで未だにパク・クネ元大統領の無実を訴える人たちの集会(前から思っているのだが、推しの無理矢理な擁護をしている人たちとある種の陰謀論者は本当によく似ている!)を見に行ったりしているうちに、自分の中の割りきれない部分と直面し、未だに支持する人たちの気持ちも理解できる気がして、会う必要がないと考えるようになる。

推しが好きだから認めることができないという彼女たちの気持ち。そう、その人たちも傷ついている。二次加害を産むようなことは許されないことだけれど。わかってしまった以上、もはや話すことはないのかもしれない。

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国状の違い(日本よりもフェミニズムが浸透している韓国において性加害問題に対する女性の意識は全般的に高いだろうし、逆に日本ではより多くの擁護派が生まれるのではないだろうか。社会に対する責任意識の違い、ファンダムの成熟度の違いも強く感じる)、性別の違い、年令の違い、対象の性別の違い、芸能界と地下アイドルといった対象の違いを超えて、日本の初老の女性地下アイドルのオタクの自分にも色々と考えさせられるドキュメンタリーだ。

推しは時として間違う。推しは人間だから。オタクも間違う。推しの選択を間違う。でも人間だから仕方ない。

作中でも一人のオタクが言っていたが、推しが何かやらかした場合、オタクもまた推しによる被害者でもある。でも、加害者を推していた自分にも被害者に対する責任があるかもと思ってしまう気持ちはわかってしまう。オタクも加害者ということはないとは思うのだけど、そう思ってしまう気持ちはわかってしまうのだ。

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作品中でもっとも共感できたのが、生きている人間は尊敬できない、歴史上の人物なら尊敬できるというようなことを突如語りだすイ・ミンギョンだ。突拍子もないように聞こえるかもしれないけれど、よくわかる。そう、死んだものは変わらないから裏切らない。

解散しているグループ、引退して消息のわからないアイドルは裏切らないから永遠に推し続けられる(とはいえ、死者も、既に存在しないグループも、引退した人も、突然過去の問題が発覚することもあるから安心はできないが)。そして、もう1つわかることがある。そう言いつつも、また生きているものに近寄ってしまうということも。

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