そして、それ以前に映画として非常に面白い映画だ。誤解を恐れずに言えば、愉快ですらある。
個性の強い出演者たちが生き生きと映像にとらえられており、パク・クネ元大統領のオタクのおじさんは別として、映画の中に出てくる女性たちは、その場で立ち止まったり、泣いていたりするものはおらず、それぞれ傷ついてはいるけれど、みんな自分なりの形で進もうと前を向いているので何だか元気なのである。随所に出てくる出演者のタフなオタクらしさもあって、何もポジティブなことは起こってないのに何だかポジティブな感じがしてくる。元気が出てくるような気もする。
インタビュアー、撮影、編集、ナレーターをつとめたオ・セヨン監督の個性が反映されているのだろう。ああいうことがあって、こういう映画を撮ろうとするなんて、パワーがないとやってられないはずだ。
本当の「成功したオタク」とは何かということについての1つの答えが監督から提出されている。色々あるけど、幸せなオタク生活にむけてオタクは歩んでいくしかないのである。監督の母であるパク・ソンヘの「相手が有名でも一般人でも、好きになった過程が重要よ」という言葉。本当にそうだと思う。