第512回 最高の面白い『虎に翼』の脚本家・吉田恵里香さんに注目
4月1日から放送がスタートした、NHKの連続テレビ小説『虎に翼』、みなさんはご覧になっているかしら?
『虎に翼』は、日本で初めて女性として弁護士、裁判官、裁判所長を務めた三淵嘉子さんの人生を下敷きにした作品なんだけど、作品の概要が発表されたときから、アタシ、オンエアを心待ちにしていたの。というのも、脚本を担当されているのが、吉田恵里香さんだから!
アタシが吉田さんの存在を知ったのは、ドラマ『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』(以下、チェリまほ)。チェリまほは、とにかくすべてが丁寧で優しくて素晴らしかったんだけど、アタシ的に特に好きだったのが、主人公の男子二人の恋を見守る会社の同僚・藤崎希の描かれ方。
原作の漫画では、希は腐女子という設定だったのが、ドラマでは「恋愛がなくても毎日を楽しく生きている女性」(明確には表現されていないけど、他者に対して恋愛感情も性的欲求も抱かない「アロマンティック・アセクシュアル」である可能性も)として描かれていたの! 少なくともアタシは、アロマンティック・アセクシュアルのキャラクターが登場する日本のテレビドラマを観たことがなかったので、「この脚本家の方、すごいところに踏み込んだな!」「そして、ちゃんと勉強されているな!」とびっくりしたわ。
そうしたら、その約1年後には、吉田さんの脚本による、まさにアロマンティック・アセクシュアルの男女を主人公に据えたドラマ『恋せぬふたり』がオンエア!
正直アタシ、最初は「恋愛感情を抱かない人を主人公にした連続ドラマ」がどのような形になるのか想像できなかったんだけど、『恋せぬふたり』がまた素晴らしかったの! 登場人物がみんなとても魅力的で、恋愛要素がなくても十分面白い作品だったし、やはりすべてが丁寧で、「ちょっと目新しいテーマに取り組んでみました」みたいな作り手のエゴがまったく感じられなかったのよね。