「斎藤氏は、この巨大プロジェクトでひと稼ぎしようとしていた利害関係者全員を敵に回してしまったんですよ。大慌てだったのは、 窓口になっていた県職員。決済者はちやほやされるのが世の常だが、白紙撤回となれば、謝罪行脚は必須となります。急転直下の事態に県は大混乱しました。こうした経緯を考えれば、斎藤氏は敵を作りまくった挙げ句、県職員や県議会すら敵に回したと考えるのが自然でしょう。渡瀬氏をはじめ、元知事派にハメられたと見ることもできます」(前出・県関係者)
斎藤氏を応援する声も増加
こうした文脈で見れば、「怪文書」は思惑を持って書かれたものであることは明白だ。斎藤を引きずり下ろし、元知事派に戻る倒幕運動の一貫という側面が透けて見えるのだ。在阪テレビ局のディレクターが解説する。
「斎藤氏に対して、番組内では多くの批判や疑惑が出ているものの『まったく悪くない。旧勢力に嫌がらせされているだけ』とする視点も多く寄せられています。そうでなければ、いくら鋼のメンタルの持ち主とはいえ、連日のマスコミ攻勢のなかで、あそこまで冷静な立ち振る舞いができたはずがない」
実際、9月中旬になり、ネット上ではより戻しとも思える現象が起きていた。SNSなどで「がんばれ」「負けるな」「やめるな」という応援の声が増えたのだ。
東京都知事選に出馬し、2位につけたことでフィーバーを演出した石丸伸二氏。自身の迷走した発言によって石丸ブームは秒速で過ぎ去ったが、次にやってくる政治ヒーローは斎藤かもしれない。斎藤の知人が、その人格を表す象徴的なエピソードを明かす。
「大学時代には、夏でも冬でも1年中フェンディのストールをして気取っていた。1浪して進学後は髪の毛を茶髪に染めて、一昔前のホストのように色気を振りまいていました。『キモい』『イタい』と言われてもめげず、我が道を行くタイプなんです」
〝鋼のメンタル〟で出直し選挙へ出馬する意向を表明した斎藤元彦前兵庫県知事の今後を見届けたい。
取材・文/大山糺
画像/内閣府 地方創生推進室 地方創生図鑑より
初出/実話BUNKA超タブー11月号