当時、教室に、必ず毎週誰かが買ってきた『ビッグコミックスピリッツ』が転がっていて、楳図先生の『神の左手悪魔の右手』『14歳』が連載されていたの。でも、10年経ってもまだ『まことちゃん』ショック(というか、トラウマ?)が残っていたのか、それなりにエロやグロへの耐性はついていたにもかかわらず、アタシ、先生の漫画を読むことができず……。両作品とも、やはりいまだに読んでいないわ。
大人になってから気づく楳図かずお作品のすごさ:ドラァグクイーン・エスムラルダ連載542
そんなアタシが、三度目に楳図作品に遭遇したのは、20代になってから。同い年のドラァグクイーン仲間で、無類の楳図かずお好きのブルボンヌさんから『わたしは真吾』を借り、おそるおそる読んでみたところ……あまりにも面白くて、ハマってしまったの! そこでようやく、幼少期の楳図ショックを克服した(?)アタシは、『漂流教室』を読んでストーリー展開や伏線回収の素晴らしさに驚愕し、『赤んぼ少女』や『おろち』、『洗礼』などを読んで、先生の人間の描き方の深さに唸ったわ……。
というわけで、かなり遠回りしてしまったけど、大人になってから楳図先生の凄さに気づいたアタシ。お亡くなりになったのはとてもショックだけど、そろそろ未読の『神の左手悪魔の右手』『14歳』、そして『まことちゃん』を読んでみようかしら……。
写真/フジテレビ公式HPより
<水曜日掲載>
PROFILE:
エスムラルダ(えすむらるだ)
1972年生まれ。94年よりドラァグクイーンとしての活動を開始し、各種イベント、メディア等に出演。2002年、東京都の『ヘブンアーティスト』ライセンスを取得。脚本家・ライターとしても活躍している。著書に「同性パートナーシップ証明、はじまりました。」(ポット出版、共著)
twitter:@esmralda001