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『103万円の壁』は本当に問題なのか?:米山隆一連載11

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衆院選で自公が敗北、国民民主党が躍進したことにより、国民民主が政界のキャスティングボードを握る形となりました。それに伴い国民民主が取り上げた「103万円の壁」問題も注目を集めています。この問題、米山隆一衆議院議員はどう考えているのでしょうか。

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第10回:『103万円の壁』は本当に問題なのか?

衆議院選挙で躍進した国民民主党の玉木氏が唱える「103万円の壁」が、今(11月17日現在)国政の大きな話題になっています。もう耳にタコの方もおられるかもしれませんが、今一度この問題ついて論じてみましょう。

「103万円の壁」は、もともとは、所得が103万円を超えると所得税がかかり、学生さんだと親の特定扶養控除を外れて親の所得税が増えるので、働き控えが起こっているという問題です。

しかし、所得税については103万円を超えた部分にかかるだけなので、例えば働いて104万円の所得を得たら103万円を超えた1万円に5%の税金がかかり、手取りは103万9500円に増えるので、実は壁はありません。学生さんの特定扶養控除については実際に壁が存在しますが、その上限額を一定程度上げれば解消するので、それ自体は実現困難な問題ではありませんでした。

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ところが先の衆議院選挙で、この「103万円の壁」問題に注目した国民民主党の玉木代表が、本来「103万円の壁」とは無関係な所得税の基礎控除を現在の103万円から一気に178万円に引き上げるプランを打ち出しました。これが実行されれば、年収200万円で8万6000円、500万円なら13万2000円、1000万円なら22万8000円もの減税になるので、皆さん大喜び、直近の世論調査では国民の40%が賛成となっています。

しかし、世にただ飯はなく、当然ながらこの政策には多大なコストがかかります。その額なんと7兆6000億円、税収の10%に当たり、今年の文教・科学振興予算5兆5000億円、公共事業費6兆円を遥かに超え、防衛予算7兆9000億円にも匹敵する税収がなくなるのです。

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