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「このバカ漫画がとんでもない」天久聖一のTOP3

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バカ漫画。定義はないが、バカな漫画であることはたしかだろう。当然ギャグ漫画もその範囲内だ。とびきりバカだと思う作品を、バカ漫画のスペシャリストたちに選んでいただいた。今回は天久聖一さん。

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PROFILE:
天久聖一(あまひさ まさかず)
1968年生まれ。香川県出身。高校卒業後、神戸拘置所刑務官を経て漫画家に。デビュー以降は漫画以外で食いつなぐ。いまだに自分を探し中。
X:@amahisa

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バカとは他者を一切顧みない主観の強靭さだと思う。そう考えるとバカ漫画はギャグに限らずひたすら「俺流」を貫いた作品といえる。本誌を愛読する好事家なら『アストロ球団』や『野望の王国』などが頭に浮かぶであろう。でも僕はあえてギャグ漫画から選出したい。自分のデビューがギャグ漫画家だったこともあるが、ギャグというバカなジャンルにおいて、さらにバカを極めようとする勇者に畏敬の念を抱くからだ。

主観が過ぎればバカとなり、それを超えると狂気になる。ギャグ漫画がひたすら狂気を目指す時代があった。ギャグ漫画の始祖である赤塚不二夫先生がその道を示した。

哀愁をまとった人情コメディからはじまった赤塚ギャグはまず世間の常識を破り、つづいて漫画文法を破壊し、とうとう自我を超克した。作品は壁を超えるごとに不条理で難解なものとなったが、振り回される刃のような狂気は多くの読者を魅了した。

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後進のギャグ作家もなんとか赤塚に追随しようと自らの作風を過激化していったがもれなく斃れ、あるいは離脱していった。これは僕の個人的所感だけど唯一赤塚に追いつき、その高みで独自の地平を拓いたのはいがらしみきお先生だと思っている。休筆間際の一連の作品は狂気が一線を超えた静けさを感じるものだった。その休筆明けに発表されたのが『ぼのぼの』である。

『BUGがでる』は『ぼのぼの』の初期と同じ頃に描かれた4コマ群で、休筆以前の哲学的静けさが、より洗練された形で表現されている。テーマであるバカ漫画とは対局にある知性派作品かもしれない。それでも敢えて本作を挙げたいのは主観を貫きその果てで、さらに主観をメタ認知するという離れ業に凄みを感じるからである。本物のバカは笑えない、逆に笑いを問うてくる。内容は各自確認してほしい。電子版が購入できる。

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