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トランプ大統領就任で混迷の世界米中の板挟みとなる日本の苦境

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戦争で深いダメージを負いながらも抵抗をやめないウクライナだが、一方のロシアは戦争をきっかけとして経済的に大きく成長した。 「ロシアはこの数年でBRICSに依拠した世界を作り上げ、今やGDPでは世界第4位にまで登り詰めました。ドイツを追い越すくらいの勢いで成長して、もはや日本と並んでいます。ただ、そんなロシアも欠点を抱えていて、それが人口減少です。底を打ったとはいえ人口はまだ減り続けていて、先が見えない。そういう中で100万人以上の規模の軍を動かしているのですが、戦死者が増えると社会不安が起きることが懸念されます。だからロシア人の戦死者を減らすために火力戦に切り替えたり、激戦地には北朝鮮軍などの外国人部隊を派遣して、少しでもロシア人の戦死者を減らそうとしています。しかも現在の戦況は、朝鮮戦争の終わり頃の1952年から53年の頃の状況と似ています。停戦の交渉を始めてからお互いに狂ったように戦ってかなりの数の犠牲者が出た時期で、今まさにそれと同じ状況になっています」

ウクライナ戦争が泥沼化し、ロシアが国際社会で孤立している中、日本にとって有利な切り札が出てきているという。

「多くの国がウクライナに武器を送っている中で、日本は唯一、殺傷兵器を送っていない国です。日本も間接的に弾薬を送ってはいますが、ロシアに向けて直接撃たれるような兵器を日本は供給していない。そしてウクライナとの戦争中にも日本はロシアとの関係を断絶していません。ロシアに制裁を加える欧米諸国に比べて、日本はロシア側から好意的に受け止められているのです」

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対ロシアとの関係を日本としてどう活用するかが、石破政権の命運を左右すると篠原氏は指摘する。 「ロシアへの対応で日本が存在感を高めることができれば、国際的にも地位が上がり、アメリカからの支援も期待できます。現状の石破政権で3月は乗り切れそうですが、自公が少数与党になった今、夏の参議院選挙でもう一度負ければ秋口で辞任して終わりでしょう。そこにもう少し違う要素が動いて7月までに大きな実績を残せれば、石破政権の延命につながるのではないのでしょうか」

軍事、経済、外交のどの点を取っても世界的に混迷を極める中で、日本はうまく立ち回ることができるのか。今後の世界情勢から目が離せない。

 

取材・文/和田武彦
初出/『実話BUNKA超タブー』2025年3月号

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