146回 なぜ志らくは嫌われるのか
立川志らくさんが、2019年9月30日から始まるTBSの『グッとラック!』という新ワイドショーで司会をつとめるといいます。志らくさんと言えば、様々な事象について、テレビのコメンテイターとして、あるいは自身のTwitterで独自の意見を発表しては小さい炎上をたびたび起こしていることで知られる人物。炎上狙いで視聴率をあげていこうという局側の戦略ではとの意見が出ています。ポスト坂上忍的なものを期待されているのではないかという話です。自分もそんな気がします。とはいえ、志らくさんの炎上と司会者としての坂上さんの炎上は質感として違うものです。
芸能界的には忘れられた存在であった坂上さんの再評価が始まったのは、吉田豪さんによるインタビューがきっかけでした。
芸能界という異常な世界で無頼な大人たちに囲まれながら、微妙にデビッド・ボウイにかぶれたりしながら成長した坂上さんの最後の無頼派タレントみたいな人物像は、今までのパブリック・イメージとの落差もあり注目を集めました。単純に言えば異常で面白かったからです。
ワイドショーでの、坂上さんが本来持つ無頼な性質とはかけ離れた小市民的で古臭い「常識」を振りかざす姿は、そういう新しい坂上忍像の中の「偉そうで毒舌」という部分のみに制作側がニーズを求めた結果として生まれた姿だと思います。要は坂上さんは番組側の意向に沿った意見を言い、求められているキャラクターを演じているのです。番組で坂上さんが何かの文句を言ったとしても、たいていは本当は別に興味もないし何も思ってないぐらいのものでしょう。お仕事がんばってるんですよ。子役時代から培った演技力を生かしつつ、そこに天然自然に持ち合わせる雑さと傲岸不遜な雰囲気が加わることで、炎上司会者としての地位を獲得しているわけです。