しかし、防衛費を上げるとなると、当然莫大な財源が必要になる。それが現実的に可能なのかどうかも問題になってくる。 「所得税などあらゆる税率を上げて税収を増やさなければいけません。しかし、ただアメリカの言いなりになって軍事費を上げるだけなのであれば、国民からも支持されなくなります。だから日本は、中国とアメリカの間に立って何ができるのかということを真剣に考える必要があります。その一例としては、日本が主催して軍縮会議を開くのも有効な策ではないかと考えています。軍縮会議の目的は、各国がお互いのために経済発展の妨げや平和の脅威になるような軍備増強を抑止することです。軍縮外交をした場合のメリットは、約束を破った場合に相手の国の道徳的立場を毀損できること。軍拡をし続ける国に対しての風当たりはかなり強くなります。日本の軍事体制もブラッシュアップが必要で、兵器も古いものは新しいものに買い替えて、数は増やさないものの精鋭化していくべきです。日本もきちんと主導権を握って行動していかなければ、財政破綻と政権崩壊の道が待っています」
ウクライナ戦争は終結するのか
そして、やはり2025年の国際情勢を語る上で欠かせないが、ウクライナ戦争だ。トランプ氏はウクライナ戦争の早期終結を主要な政策として掲げていた。
「アメリカがウクライナのために予算を使わなくなれば、ウクライナは抵抗を止めるでしょう。開戦当初は、停戦条件として『クリミアを含むウクライナ全土の返還』という無理難題を提示していたゼレンスキー大統領ですが、今では現実な落とし所を提示しています。ゼレンスキー大統領は現在占領されている領土の返還は諦めると言っていますが、一方でウクライナ側が停戦条件として絶対譲れないのが、ウクライナが将来的にNATOとEUに加盟することです。そうでなければ、ウクライナはロシアの脅威から身を守って独立することができないからです。ところが、EU、NATO加盟諸国からは異論が出てきており、ハンガリーやスロバキア、トルコは、ウクライナの加盟に反対しています。そのためゼレンスキー大統領の要求はかなり厳しいものではあるのですが、それが実現しなけれ自らの政治生命はもちろんのこと、政権が崩壊してしまいます」