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トランプ大統領就任で混迷の世界米中の板挟みとなる日本の苦境

連載
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「USスチールは今でこそ落ち目の企業ですが、かつてはアメリカの伝統的な産業を担ってきた世界最大の製鉄会社です。そんなUSスチールが親中派企業に買収されてはたまらないということで、トランプ第一次政権の国務長官だったポンペオ元国務長官が根回しをしました。表向きはバイデン大統領が阻止したという形ですが、これは明らかにトランプ政権の方針です。ちょっとした親中的な部分さえも執拗に叩いてくるという、今後のトランプ政治の予兆が示された一件だと思います」

日本製鉄と中国の関わりは古く、1970年代に中国の鉄鋼産業の近代化に技術支援を行い、中国・上海市の「宝山製鉄所」の建設に協力している。その後も、日本製鉄と中国の宝山鋼鉄で合弁事業会社を設立しており、昨年7月に合弁事業を解消したものの友好的な関係を続けている。

トランプ氏の対中政策として注目されているのが、中国に対して10%の追加関税をかけるという政策だ。中国に対する追加関税は、アメリカが自国の利益を守るために掲げている政策なのだろうか。

「中国への関税を上げることは、アメリカ経済にとってはむしろマイナスに働くはずです。というのは、アメリカ製品の加工工場も今はほとんど中国などに移転しており、アメリカ国内で必要なものは中国他からの輸入で調達しているからです。それらが関税で価格が上がれば生産コストも上がることになり、そして自国製品の価格が上がれば、アメリカ人が買えなくなります。これは中国に損害を与えるというよりも、アメリカ国内の経済を痛めつけることになりかねません。アメリカがダメージを受ければ、単に中国とアメリカだけの話ではなく、日本にも影響してくることになります。これはトランプ型の交渉の切り札でしかないので、言葉通りに受け取ってはいけません。今や世界のビッグツーが米中となっていますから、最終的には両者で折り合うことになるでしょう」

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日米安保の行末はいかに

自国の利益のためなら中国のような大国とも真正面からやり合うことを厭わないというのがトランプ大統領のスタンスだ。世界各国がそんな「トランプ・リスク」に対して緊張を感じている中で、日本では石破首相がトランプ氏と会えるかどうかが話題の中心になっており、あまり危機感があるとはいえない状態だ。しかし実際に会って話をすれば、日本も何かしらの外交上の責任を負う必要が出てくる。日本はアメリカにとって安全保障上で重要な国だからだ。

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