「アメリカは、中国や北朝鮮、そして韓国に対してもかなり警戒心を感じています。特に韓国は民主主義国家でありながら政治がまったく成熟しておらず、安全保障上の機密事項を共有することに不安が残ります。韓国側の関係者が北朝鮮に通じているリスクも拭えません。そういう意味で、日本は信用度が高く、北東アジアを安定させるための足場にするという意味でもアメリカにとっては価値のある国です。そのための役割をしっかり果たせばアメリカと良好な関係を築けますが、そうでなければかなり厳しい対応をされるでしょう」
トランプ大統領は「アメリカを再び偉大に」というスローガンを掲げているが、アメリカがかつて世界の警察として振る舞っていた時代ほどの力を持っていないことを、篠原氏は繰り返し指摘してきた。トランプ大統領自身は、それについてどう考えているのだろうか。
「トランプ氏は案外現実主義者なので、その現状をよく理解しています。BRICSが力を持ち始め中国やインドの勢力が大きくなりつつある中で、アメリカがかつてのように世界で抜きん出た存在に返り咲くのは難しいでしょう。それでも今の地位をなるべく長く維持して時間稼ぎするためにも、限られたリソースを活用し軍隊を効率よく稼働させなければいけません。遠隔地で基地を維持するのにもかなりのお金がかかりますから、基地は縮小してなるべく自国で頑張ってもらう。アメリカがそのように路線変更したのは2000年頃のことで、かれこれ30年近くその体制でやっています」
実際に、この30年で沖縄の基地に駐在する米兵の数もかなり減らしているという。近年の米中対立の高まりの中で現実味を帯びている台湾有事が起きれば、真っ先に武力攻撃が受けるとされているのが沖縄だ。アメリカ軍がいなくても台湾有事を抑止できるほどのプレゼンスを日本で持つことが必要とされているのだ。
「自国での軍備強化を求めるのが従来からのアメリカ政府の方針ですが、トランプ政権ではその方針をより強く打ち出しています。その代わりに、そこまで日本が対応できるのであれば局地的な協力はいくらでもするというのがアメリカのスタンスです。そのためにもトランプ大統領は日本に防衛費を上げるよう求めています」