眞子さんの名前が出てくることはなく「彼女」や「配偶者」と記すのみで、二人の交際に関して何か詳細なことが語られているということは、いっさいない。眞子さんに関しては特に何も語っていないと言ってもいいくらいだ。
マスコミ報道やネットでのバッシング・誹謗中傷に対する批判はあるが、一般論に落ち着きがちで個人的な体験を詳細に語る感じではないし、何かに対して具体的な事実をあげて反論するということもない。自分がその時にいかに心身共につらかったかということと、その時に支えてくれた人たちに関する感謝がフワッとした感じで語られるだけである。
金銭問題に関しても、夫の死の詳細に関しても、佳代さんの実家の信仰についても、夫の死後の男性との交際遍歴など、そういったマスコミで報道されたことについて、世間が知りたがっているようなことはいっさい書かれていない。
暴露本、告白本のたぐいではいっさいないのだ。
現在もPTSDを伴う鬱病やパニック障害に悩まされており、文章でまとめることで今後自分がどう生きていくかが明確になり、治療の一貫になるのではないかと佳代さんは書いており、そういう状態ではつらかったことを掘り下げて書くのは酷な話であるし、そういった記述がないのも仕方がないと考えることができる。
自分のイメージアップのために、都合が悪いことは意図的に書いてないと考えることもできるし、そういったことを掘り下げられる状態に今はないとも考えられるわけで、この本の内容からだけで何かを断言することはできない。そもそも、フワッとした内容の本であって、そこから何かを読み解くのは難しいのではないか。
だから、この本について何かを語ろうとするならば、内容よりも周辺の情報について語ったり、そこから得られたものに対する分析を語るしかなくなってしまう。