村田 基本的に参加者は20〜30代の人が多かったんですけど、中に50代のおじさんがいて、その人がなんかトレーナー側っていうか、シニカルで上から目線なんですよ。2日目くらいに、またほかの参加者に上から目線で喋ってたら、トレーナーの人にめちゃくちゃ怒られておじさんが泣きじゃくり。でもさっきまでえらそうにしてたから、周りもちょっと笑っちゃうじゃないですか。それで僕もみんなも笑ってたら、トレーナーがそこを一番怒るんですよ。「お前ら人が怒られてるの見て楽しいのか!? いつからそんな人間になったんだ!」って。その瞬間、部屋の電気がドーンって消えて。
——え、なに!?
村田 それで、中島みゆきの『五才の頃』が流れるんです。「思い出してごらん五才の頃を〜♪」ってやつ。「皆さんは五つの頃、人の失敗を見て笑いましたか? いつからそんな人間になったんですか?」って言われて、みんなウワーッて泣くんです。
——ええー、怖い怖い。
村田 僕もウワーッて泣きました。
——怖い!!!!!
村田 そもそも最初に自己啓発セミナーで面接受けた時「スパイだろ!」ってバレたんですよ。これは取材できなくなると思って、ポロポロ泣いてみせたんですね。だからその後も「取材で来てますよ」みたいな態度は取れないんです。めちゃくちゃ前向きにやらないとバレちゃうから。終わった後、人と会ったら「目がギラギラしてて声がデカくて怖い」って言われてました。前向きになるんですよ。
——どれくらい入るんですか?
村田 10日くらいです。効果は2〜3週間くらいで解けちゃうんですけどね。当時は酷いと思ってましたけど、いまだにこの当時のネタで仕事があるんで、今はありがたいと思ってますよ。
取材・構成/姫乃たま
初出/『実話BUNKAタブー』2025年6月号