村田 結局予定より長めにいたんだけど、うちの父親がすごく暴力的な人で、ある日の朝、看護師を突き飛ばしながら入ってきて、髪引っ張られて「帰るぞ」って出してくれた。
オウムや精神病院に潜入する
——お父さんは仕事のこと知ってたんですね!
村田 知ってましたよ。「自分でケツ拭けない仕事はすんな」って言われました。僕はべゲタミンのせいで、ぼーっとしてましたけど。まあでも大変だったけど、あの頃は楽しかったですね。オウムの後継団体にも入ってみたり。
——オウムって一般の信者の輪に入る分には、穏やかな人が多そうな印象ですが。
村田 そうですよ。みんな良い人だし優しいけど、周りは公安に囲まれてますし、あと会員にはすぐになれるんですけど、信者にはなかなかなれないんですよ。本を何冊読んで、ビデオを70本見ましょうっていう決まりがあって。
——ビデオ70本も観たらハマりそうで怖いですね。
村田 結局毎日通って観てましたね。当時は上祐さんがトップになってて、麻原彰晃のビデオがなくなってたんで、あんまり面白くなかったんですよね。だからそんなにハマる感じでもなかったかな。オウムに関しては最初から信者になりたい人が来るので、洗脳するって感じでもないんですよ。自己啓発セミナーとかに比べると全然。
——自己啓発セミナーってどんな感じなんですか?
村田 雑誌に経費で出してもらって、50万くらいかかる自己啓発セミナーに入ったんですけど、それがいままでで一番きつかったかなあ。単純に言うと、めちゃくちゃ真剣にゲームするんです。代表的なのを言うと、私たち40人くらいでタイタニックに乗ってますと。でも救命艇が3名分しかありません。それに誰を乗せるか、自薦でも他薦でもいいんで、時間無制限で決めましょうっていうゲーム。
——え、そんなの本気でやって決まります?
村田 だからなかなか決まらないし、怒鳴り合いになるし、窓も時計もない部屋でみんなが熱に浮かされたようになっていくっていうのをやるのが自己啓発セミナーです。
——ええ……?