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広陵高校野球部のいじめ:ロマン優光連載353

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目に余る野球至上主義

確かに禁止されているカップ麺を食べたのは良くないことだ。しかし、それに対しては野球部の指導者・寮の管理者側が何らかのペナルティをあたえるものであって、上級生が私刑を加えるべきことではない。

そういえば、カップ麺禁止も3年はいいけど下級生はダメとかそういうのではなく、スポーツ医学的に部員全体の食事の管理をしているということだと思うのだが、理由がはっきりと説明されていないのでよくわからない。

野球に専念して、生徒側からの申し出でスマホは禁止だし、テレビも寮にはないということだが、そうやって情報を遮断した環境をつくるのは、生徒側からの要望もあるとはいえ、はたして良いことなのだろうか。まあ、野球以外のことに触れなければ野球に専念するしかないといえば確かにそうなのだが、部員全員が野球で身を立てられるわけでもなく、教育としてどうなのだろう。

そもそも、集団で暴行を加えることができる環境があるのがおかしい。運動部というのは軍隊的なところがあるもので上級生から下級生への暴力が発生しがちなものだと思うし、寮という閉鎖空間はいじめの温床になりがちな場所である。それを阻止するために大人の目を行き届かせるような環境づくりをしていたとは思えない。

どちらかといえば、そういう環境を作ろうとするより、放置・黙認していたのではないかとかいう疑いもわいてくる。

今回告発する形になった被害者たちは広陵を離れることになったからこそ発言できたのであり、今までも同種のことは起きていたが野球部を辞めたくないから我慢してきたのではないかと自分のように想像する人もいるし、今回加害者となった部員も上級性から似たような振る舞いをされてきたのではないかと想像する人も居るだろう。

そういった想像が事実であるかどうかはわからないが、いじめという名の暴行が可能な環境に問題を感じていなかったのは確かではないか。

教育者として、学校側の責任は被害者に対しても加害者になってしまった生徒に対しても非常に重い。

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全体を通じて感じるのは、野球・高校野球こそが最高のものであって、そういった価値観以外をもった人間がいないかのような振る舞いが多いということだ。広陵高校ももちろん、高野連も主催の朝日新聞の声明も。大会のスムーズな運営のことしか考えてなかったように思えてしょうがない。

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