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コブラ、そして俺とサイコガン:ロマン優光連載257

連載
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257回 コブラ、そして俺とサイコガン

(ガリア)
「まてよ
コブラ

その
運てえやつに
負けた時は
どうするんだ」

(コブラ)
「笑って
ごまかすさあ!」

(「異次元レース」より)

 

宇宙を股にかけて暴れる一匹狼の宇宙海賊。左腕にサイコガンを持つ男。 男の名はコブラ。子供の頃に出会った「大人の男」たちの最初の一人にして、永遠のヒーロー。

俺たちは彼に憧れるあまりにチップスターの空き容器に左腕を突っ込んだ。無理矢理奥まで突っ込みすぎて抜くときに腕が痛くて、涙をながしたものもいる。その一人が俺だ。

あの頃、小学校1、2年生の頃に出会った「大人の男たち」。

コブラ。

ルパン三世。

アニメ『宝島』のジョン・シルバー。

大胆不敵にして繊細でタフな、ユーモアとウィットにとんだ悪漢たちだった。

『コブラ』の連載開始が78年。アニメ『ルパン三世』2ndシーズンの放送開始が77年。アニメ『宝島』の放送開始が78年。悪漢たちが子供たちの前にヒーローとして頻繁に登場する時期だった。

なかでもコブラはお気に入りだった。 ルパンという男により強くひかれるようになるのは、青い背広の彼と魔術師と呼ばれる男との死闘を何年か後に再放送で見たときだったし、ジョン・シルバーという悪役の男としての真価を知るのは自分が大人になり、あの最終回を思い出すようになってから。ルパンはただの泥棒だし、シルバーはただの海賊だが、コブラは宇宙海賊だ。そして、なんといったって左腕にサイコガンがついているのだから。もう1つ言えることがあるとしたら、コブラの物語にはクリスタル・ボーイという宿敵が存在していたということ。あんなカッコいい悪役、見たことがなかったから。

まあ、まだ、家にホームビデオもない頃だ。アニメは1回こっきり。それに比べてコブラは漫画だから、何度も読み返せるので、コブラ濃度が生活の中で高くなっていたのも、コブラに一番ひかれたことの原因かもしれないが。

当時の週刊少年ジャンプの漫画では主要キャラ・人気キャラは死んでも生き返るのが普通だったが、『コブラ』では誰が死ぬかわからないし、死んだら死んだまま。三姉妹の最後も、ドグの最後も本当にショック!逆に 「地獄の十字軍」篇で 「これは絶対に死ぬ…」と思ってたザッパが生還したのにもビックリ!そういうところが大人の漫画だなと子供心に思っていた。

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コブラが『スペースコブラ』としてアニメ化された時、服が紫から赤になっていることに不安をおぼえたが、実際に見ると、そんな些細な違和感はどこかにいってしまった。出崎統が『宝島』に関わっていたのを後に知ることになるが、当時はなにも気にしていなかった。おそらく、当時考えていたのは「コブラの最初の歌(OPのこと)かっこいい!」だと思う。

タートル号で宇宙を翔るコブラの姿に、ミレニアム・ファルコンを操るハン・ソロの面影が見いだす人は多い。映画版アニメ『Space Adventure コブラ 』でコブラを演じたのが松崎しげるだったことが、松崎しげるのスター・ウォーズ登板への道を開いたのではないかと、ふと今思った。

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