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女ヤクザ細木数子:ロマン優光連載199【2021年11月12日記事の再掲載】

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番組をつくる側もそれくらいの感覚でつくっていたのだろうけど、テレビを通して細木氏を知って占いの信奉者になり、お金を落とすようになった人もいるわけで、ああいうオカルト的に脅して人の心の隙間に入り込むようなビジネスのやり方はたちのいいものとは言えないだろう。単純に心霊話を真偽を別にして楽しむようなものと、占いや宗教的な信奉を求めるものは、スピリチュアル・オカルトといっても違うものなわけで、スピリチュアル・オカルト的なものを全否定しろとは思わないが、メディアが人の欲や心の弱味につけこむかのような信奉者ビジネスを利するような取り上げ方をするのはやはりよくないことだと思う。

スピリチュアル・オカルト的なものに対してはテレビメディアが取り上げることは現在は減ってはいるし、社会全般的に昔よりは風当たりが強くなっている。ただ、ネットを媒介としたインフルエンサー・ビジネスというものも、ライトな感じになっているけれども、同じような構造になっていたりもするわけで、強い言葉を使って断言する人間に弱い人たちがいて、その人たちの欲や心の隙間につけこんでいくタイプのビジネスというのはなくならないものだろう。

母が売春宿を経営していたことから、そこで働く女性たちの管理に幼い頃から携わっていたという細木氏。そういう環境で育っていくことで、飴と鞭を使って他人を搾取していく生き方を自然と選んでしまったのかもしれないなとも思う。また、働かされている女性からしたら細木氏は加害者だが、同時に親の教育の被害者でもある。子供は親を選べないし、親の仕事も選べない。自分たちだって、家の仕事が売春宿だったら自然と手伝わされていたかもしれないし、そうであった時に彼女のようにならないとは誰もいえないだろう。まあ、実際には彼女のような強靭な精神の持ち主はあまりいないわけで、あそこまで行く前に他の誰かの餌になってしまうだろうけど。そう考えていくと、彼女のバイタリティーとエネルギーはやはり並み外れたものがあり、戦後の混乱期から生まれた怪物的な存在であったのは間違いなく、あのタイプの人は自分が生きている間には見かけることはもうないのだろうなと思う。これからの日本社会がむかえていくであろう新たな混乱の時代には、どのような新しい怪物が生まれるのであろうか。 

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〈金曜連載〉

PROFILE:
ロマン優光(ろまんゆうこう)
ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。
twitter:@punkuboizz

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