300回 三浦春馬の提灯が100個の怪
2024年7月16日に、ニュースサイト「NEWSポストセブン」(小学館)に掲載された『【三浦春馬さんの名を靖国に】提灯2万円に値上がりなのに100個も集まった「ファンの熱い思い」 『みたままつり』に献灯ズラリ』という記事がX(旧Twitter)に流れてきたのだが、その内容を目にして驚いた。
靖国神社の『みたままつり』に2020年に亡くなった俳優の三浦春馬氏の名前が書かれた提灯が数多く並んでいたことをファンの美談のように取り上げている記事だが、提灯を出している日本製普及会、春馬くんの海と空の会といった団体は、報道や所属事務所の発表を否定し「三浦春馬は何らかの闇に触れたために殺された」といった三浦春馬他殺説を支持している団体である。
こういう三浦春馬他殺説を支持する人たちのグループは一本化されているわけではなく、『みたままつり』に提灯を出す活動をしているグループ以外にも、警視庁前で抗議活動をおこなったり、三浦氏の所属事務所アミューズが開催した株主総会の会場前で街宣したり、反ワクチンデモ・集会に参加したりするような活動を企画しているグループがある。ただ、一般の参加者が提灯奉納やデモなどのどれか一つに参加しているのか、複数の活動に参加しているのかは不明である。
いずれにしろ、どのグループも三浦春馬氏の死に関する陰謀論を主張している人たちであり、そうしたグループの活動を美談として取り上げ、記事にするのはどうなのだろう。
こういった運動に参加している人たちの中にはアミューズはディープステート(CIA説もある)の手先であり、アミューズの持っている保養所である豊島保養所で人身売買によって集められた子供たちを小児性愛者が弄んでおり、それを三浦氏が告発しようとしたために殺されたという説のような荒唐無稽な話を信じている人までいる。ここまでくると何とも言いようがない。
三浦春馬の似顔絵ポスター
今回の東京都知事選において、渋谷周辺の3箇所の選挙ポスター掲示板に三浦氏の似顔絵が描かれたポスターが大量に貼られていたという事件があった。通称・N国党の金銭を寄付すると党の持つ候補者のスペースに自分が製作したポスターを貼ることができるという企画(実質、売っているのとかわらない)に参加した「春活channel」なるYouTubeチャンネルの運営者によるものだったが、この人物も三浦春馬他殺説を主張している人間の一人である。
実は「NEWSポストセブン」では、昨年の靖国神社の『みたままつり』での三浦春馬提灯の取材もおこなっている(『《壮観》三浦春馬さんの提灯が靖国神社「みたままつり」にズラリ並ぶ理由「毎年参拝」の意外な縁と今も続く「ファンの熱量」』23.07.15)のだが、昨年はSNS上で話題になることはなく、筆者も気づいていなかった。