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斎藤幸平インタビュー今やりたいことを我慢して投資に回す資本主義社会の不幸

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――夢もロマンもないですね(笑)。

斎藤 私としてはお金や技術は、もっとみんなのために使えるようにしていくべきだと思うんですよね。それが『黙示録』でいうと「計画経済」という提案。我々が必要とするものを、自分たちで提案できる枠組みを作って、それを可視化して、優先的にリソースが回されるような社会を国がしっかり作るべきという。今のようなクソ化した資本主義ではなくて、新しい社会を構築するべきなんじゃないかと。スポーツだって、絶対に資本主義じゃないほうが楽しいと思うんだよね。メッシや大谷翔平に何百億も払う必要があるのか、という話で。だって、スポーツしてるだけで暮らせるんだから幸せでしょ(笑)。

 

――乱暴ですね(笑)。

斎藤 もちろん、大谷さんは世界一のベースボールプレーヤーで、歴史的に名を残す才能を持ってる人だと思うわけですよ。だけど、彼が「お金のためにあんなに努力してる」とは思わないし、何百億円も払うこと自体が、大谷に失礼なんじゃないかなって。それに、スポーツ選手の契約金の高騰で、チケット代や放送権料が上がって、スポーツ観戦にも簡単にアクセスしにくくなっているし、資本主義とスポーツが結びつくことが、スポーツをつまらなくしてますよ。W杯もチケットが高すぎる。労働者のスポーツなのに。結局、箕輪さんのような金持ちがプライベートジェットで二酸化炭素を大量に排出して観にいくわけ。本当にどうかしてますよ。私が求める社会は、大谷やメッシのような高給取りのプレイヤーが生まれる社会じゃなくて、誰もが野球やサッカーをできる社会。大谷さんに何百億も払うなら、その分のお金で色んなところにグラウンドを整備して、労働時間を6時間ぐらいにして、みんながスポーツをできるような社会にしていくことが大事なんじゃないかと。それに、このままいけば夏の甲子園なんて開催は難しくなりますよ。オリンピックだって冬はもちろん、夏も難しくなるだろうね。だから、スポーツ選手も、そういった社会的な影響力を、温暖化や地球環境を変えるために使ってほしいなと思いますね。

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なけなしの金を投資に回す社会

――『黙示録』も〝人間的なつながり〟を回復させるようなメッセージが書いてありますね。

斎藤 成長や金儲けではない次元が大事だと。人間だから欲もあるし、他の人よりも金持ちになりたい、注目されたいという欲求は否定しない。でもその先が前澤(友作)さんだとして、ああなりたいかって言われたら、そこまで求めてないと思うし、みんなそれに気づいていると思うんですよね。だから、そうじゃない次元で色んなものを取り戻して、社会をもっと豊かにするべきなのではないか、と。それはサウナでもいいし、筋トレでもなんでもいい。現代はありとあらゆるものがすべて商品化されてしまい、資本主義の道具になっているから、そうじゃないやり方を広げていくことで、もっと社会が良くなる可能性がある。それを私は「コモン」(誰かによって独占されるべきではない、社会全体の共有財)と呼んでるんだけど、それを広げていきたいということですね。

――資本主義に絡め取られない喜びというか。

斎藤 地方経済が厳しいから、東京に出てきて、高い家賃を払う。結婚しても共働きだから、出産や子育ても厳しい。少ない余った手取りの中から、ほしいものを我慢して、将来はどうなるかもわからない投資やNISAをしなくちゃいけない。資本主義に囚われて、自由を奪われすぎですよね。だから、そんなことをしなくていい社会が作れるんじゃないか、ということを、みんなもっと突き詰めて考えようぜ、と。

――斎藤さんご自身は投資をされてるんですか?

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