斎藤 デモも「警察の提示するルールを守りましょう」だったり、ストライキやデモという言葉ですら抵抗感があるから「マーチのような言葉にしよう」という、自己検閲的になってる。でも、穏健にルールを守る抗議行動には、限界があると思うんですよね。
――それが社会的な脅威にはならないですからね。
斎藤 テロや暴力を肯定する気はもちろんないけど、例えば労働者が道路に座り込みをして交通網を麻痺させた「黄色いベスト運動」や、「ブラック・ライヴズ・マター」のような非暴力的な直接行動で、政権が反応せざるを得なくなった事例はたくさんある。日本だって、1970年代半ばの「川崎バス闘争」がバリアフリーの基礎を作り、その恩恵を多くの高齢者も今では享受しています。そもそも今では左派は人気がないですが、医療や福祉に公共投資をしましょうという、というのも元々は左派的な訴えで、それがある程度実現されてきたわけですよ。自民党から政権は取れなかったとしても、左派の声には意味はあったと思うし、なんだかんだで社会にいい影響を与えてた事実を、左派の成果だと誇るべきだと思いますね。
――ただ、それも自民党が政策として手柄にした、という部分もありますね。
斎藤 いいとこ取りしちゃうんだよね、奴らは(笑)。それに効果が見えにくいから、デモは意味がない、やっぱり投票が大事だという、政治に対する意思表明の許容範囲をすごく狭くさせられてしまった部分もあると思う。私は政治は投票だけで決まるものではないし、デモやアピールも重要だと思いますね。『ReHacQ』の高橋(弘樹)さんなんかは、「リベラルは怖い」「デモは怖い」みたいなことをよく言うけど(笑)、私のやってることは、「我々がどういう社会を作っていくかを、一緒に考えませんか」という誘いでもあるし、そういうところも含めた魅力的なビジョンや対案を出していきたいと思いますね。メディアに出ること、本を書くことで、そこで左派そのもののイメージを再定義したり、塗り替えて、アップデートしようとしているっていう感じですね。なので、みなさんもいいアイデアがあったら、ぜひ教えてください!
資本主義が招いた気候崩壊。そこから世界は極度の欠乏経済へ。奪い合いの不安のなかで、他者を切り捨てる「選民ファシズム」が蔓延し戦争も次々と勃発する。破滅への行進をどう止めるのか? 斎藤氏が、その秘策を提示する。
取材・構成/高木〝JET〟晋一郎
撮影/武馬怜子
初出/実話BUNKA超タブー2026年8月号


